「バスタ仙台」構想が浮上 高速バス発着所の集約なるか

バスや鉄道などを有機的につなぐ国土交通省の公共交通ターミナル整備事業「バスタプロジェクト」が、JR仙台駅周辺で検討されていることが分かった。高速バスの発着所が集約されれば、東北の玄関口としての利便性がさらに向上する。関係者は「次世代型の交通結節点が誕生する」と実現に期待する。

全国6地域で事業化

 仙台市では、東日本大震災の復興道路として八戸市と結ぶ三陸沿岸道が昨年12月に全線開通したほか、仙台東部道路と仙台市中心部を結ぶ新たな自動車専用道路「仙台東道路」の整備に向けた調査が進む。こうした道路網を生かした広域的な波及効果も見込まれる。

 バスタプロジェクトは、東京のJR新宿駅に直結する日本最大のバスターミナル「バスタ新宿」整備の知見を全国に広げる事業。神戸三宮(兵庫県)、呉(広島県)など全国6地域で官民連携による事業化が決まった。

 関係者によると、仙台駅周辺については国交省内で事業の必要性が検討され、関係機関の意見聴取が進んでいるもようだ。

 仙台駅周辺は高速バス乗り場が西口と東口に分散している。使い勝手の悪さが指摘されており、事業では喫緊のテーマとして乗り場の集約化が検討される見通し。路線バスの通行が多い西口は渋滞が常態化しており、東口での拠点化が妥当との見方も出そうだ。

利用者は年々増加

 バスタを起点に、高速バスが仙台東道路にスムーズに乗り入れられれば、渋滞の緩和で定時性の確保が期待される。三陸沿岸道へのアクセスも良くなり、被災自治体の交流人口が増えて復興促進に貢献できる可能性もある。

 バスタには、公共施設としての機能強化も求められる。仙台駅周辺で帰宅困難者が生じた震災の教訓を踏まえ、一帯が防災面で果たせる役割を検証した上での整備を見込む。インバウンド(訪日外国人旅行者)の対応も不可欠となる。

 宮城県の新広域道路交通計画によると、県発着の高速バス輸送人数は2011年に489万人、18年には684万人と1・4倍に増加。1日当たりの高速バス便数も346便(08年)から934便(19年)と2・7倍に達し、高速バス網の定着が進んでいる。

 バスタ構想を把握する自治体関係者は「広域的な道路ネットワークと連動した公共交通ターミナルが仙台駅周辺に誕生すれば、県民の暮らしや経済への影響は極めて大きい」と話した。

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