中古車販売大手ビッグモーターによる自動車保険の保険金不正請求問題で、他社の自動車整備士が顧客から「ビッグモーターみたいなことをやっているのでは」といった趣旨の暴言を吐かれるとばっちりを受けていました。整備士はまいどなニュース編集部の取材に対し、「一従業員の立場ですので細かい部分はお伝えできませんが」と断った上で、胸の内を明かしてくれました。
「不憫でならない」「風評被害ひどい」
東北地方在住の整備士歴17年目の男性「jima」さんは8月1日、自身のSNSを更新。「初めて今、流行りの『ビッグモーターみたいなことやってんじゃ無いだろうなぁ?』を言われた。交換部品が多いからって何でもイチャモンつければいいってもんじゃないぞ。笑顔で『もしそうだったらうちの会社ビルが建ってますよ』と返しておいた」と投稿しました。
jimaさんに話を聞きました。
──顧客が「ビッグモーターみたいなこと」と発言に至った経緯は。
「お客さまの車を車検でお預かりし、その見積金額をお伝えしたときに今回の言葉を投げられました。古かったものの、そんなに走行距離もなかったので、お客さまの中ではそんなに修理代がかからないと思っていたところ、予想外に修理代がかさんでしまったのが原因かと思われます」
──整備士の仕事に対する思いは。
「私の住む地域では電車、バスなどはあまり充実しておらず、車は生活必需品、一家に人数分の車があるのが当たり前の地域です。ですので、私達たち整備士が整備をしてお客さまに安心して車に乗っていただくということは、地域インフラを支えることであるとも捉えています」
──誇りも。
「毎日、車を運転して、仕事場に向かう、お子さんの送り迎えをする、さまざまなニーズの中で使用される車に安心して乗っていただくための知識と技術を常に磨き続け、お客さまの当たり前を支える。それが整備士の誇りであり、やりがいであると自覚しています。技術職でありながら小売業の側面もあるため、お客さまとの距離が非常に近いのも魅力の一つです。いい仕事ができたときにはお客さまと共に喜び、笑顔になれるすばらしい仕事です」
──それが今回のビッグモーターの不正問題で思わぬ影響が。
「ビッグモーターがあやしいというのは昔から界隈ではもっぱらの噂でした。ただここまでひどいとは想像しておらず、ただただ驚き、呆れています。これからさまざまな処分が下るとは思いますが、自分自身も一整備士として、これまで以上に襟を正して、真摯に仕事に取り組まなければならないと実感しています」
jimaさんの投稿を読んだSNSユーザーからは、「不憫(ふびん)でならない」「某社のせいで風評被害がひどい」「冗談でも言ったらだめ」「模範解答ですね」なとの声が寄せられています。