「ブラック企業エピソード大賞」に地獄のような話が集う

日本リーガルネットワークが、4月26日~6月10日まで募集していた「ブラック企業エピソード大賞」を発表しました。1位に選ばれたエピソードは、「1日20時間・3カ月連勤、実質時給120円」という壮絶なエピソードを投稿した宮城県の20代男性「ポッチィニさん」(IT・情報通信業)に決定。おめでとうございます(?)。

「ポッチィニさん」のエピソードのダイジェストは、以下の通り。

基本給は正社員でありながら6万9千円。毎日8時から翌朝4時まで勤務でした。休みは、月一回土曜日の午前中のみで、時間外手当は1円もでません。なんと時給換算で、120円代です。一度出社すると、半監禁状態で3ヶ月帰れない事もあります。不動産会社と警察から孤独死を疑われて家に勝手に入られたりもしました。

ただ実際、過労で体調崩して搬送され、息を引き取る社員もいました。

また、「社内では、日本国の法律は適用されない」「社員は消耗品」など、経営陣の名言もありました

読んでいるだけでも冷や汗が出そうなこのエピソード、選出コメントは「法律無視の経営者、超長時間労働、最低賃金以下の給料、退職希望者への脅迫、タイムカードの改ざん等のブラックなポイントがそろっている上、過労死という最悪の結果を引き起こしている非道さから、大賞に選定しました」とのこと。全くもってその通りですね。

2位は大阪府の20代男性Y.Tさん(飲食業)。ダイジェストは以下の通り。

残業100時間以上は当たり前の世界で、最もキツい時期は2ヵ月続けて残業時間が200時間を超える日々が続きました。当然休みは1日も取れません。3時間寝たら、24時間働くみたいな状態で、結果的に2週間風呂に入れてないということになりました。ある日、担当店舗の1番遠いところに高速に乗って向かっていたらトンネルで単独事故を起こしてしまいました。自分は奇跡的に無傷でしたが、車は自走できない状態まで大破しました。それでも、車を見送った後、仕事しに行くことになり、もう笑うしかありませんでした。

1位以上に“死”が目の前に迫っており、実に緊張感あるエピソードとなっています。選出コメントは、「2週間も風呂に入れないほどの異常な超長時間労働が行われている。自動車が大破するほど深い居眠り運転で車が大破したにもかかわらず、無傷だったのは奇跡的。ということで2位に選定しました」とのこと。

3位は大阪府の20代男性Atusi@ソラノカケラさん(製造業)。

溶接する時に作業効率が落ちるという理由で保護マスクをつけさせて貰えず、顔が溶接光による紫外線によって焼けただれ、何も無い所でチカチカするようになり、夜中に寝返りを打てば激痛で目を覚ましてまともに眠れない日々が続きました。 更にプレス機を扱う仕事で「納期が間に合わない」という理由で安全装置を外し、激痛で夜も眠れない状況なので立ったまま意識が飛ぶ環境で仕事を行い、私の先輩がプレス機に指を挟んで潰してしまいました。本来であれば業務停止になるはずが、労災を使わせずにその事実を隠蔽して営業を行っていました。

あー痛い! 読んでるだけでこっちが痛くなってくる、物理的なダメージが大きなエピソードとなっています。選出コメントは「危険な作業を行う工場であるのに、作業効率優先で最低限の保護器具も使わせない。その結果、社員が重傷を負っても一切反省しない。職場の危険性と、社員の生命・安全より会社の利益を徹頭徹尾重視する態度を踏まえて、3位に選定しました」としています。

読んで分かったことは、「真のブラック企業は風呂に入れない」ということでした。公式サイトでは第7位まで発表されており、4位以下もどれも強烈な話ばかりです。

今回の募集は、ブラック企業の実態が分かる実際のエピソードを公表することで、長時間のサービス残業などの「ブラック企業問題」の解決につなげる目的で実施されました。全部で300件を超える応募があったそうで、第2回の募集も近日中に行う予定とのこと。

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