11月17日に解禁される仏ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」。歴史的な円高の恩恵で差益還元が期待されたが、原油高による航空運賃の値上がりで帳消しとなり、価格はほぼ昨年からの据え置きとなった。輸入元では東日本大震災後に広がった「家飲み」需要に応えようと、紙パック入りやハーフボトルを充実させたり、むしろ高価格の上質品を前面に出すなど、売り込みに懸命だ。
西友は、フルボトル(750ミリリットル)で1180円だった商品を、今年は880円に値下げした。ただ、円高差益よりも、ペットボトル入りにしたコスト削減が主因。新たに3リットル入りの紙パックを投入し、ハーフボトルの種類も拡充。フルでは多すぎるといったニーズを取り込み、前年比50%増の売り上げを目指す。
西友以外では、値下げの動きはない。解禁日に間に合わせるため、ほとんどが燃料費の上昇で運賃が値上がりしている航空貨物で輸入するためだ。
コンビニのセブン-イレブン・ジャパンは樹齢60年以上の古木のブドウで作る5千円の限定ワイン(750ミリリットル)を販売。「上質の味を覚えてもらい、消費の裾野を広げる」(同社)のが狙いだ。ローソンもパーティー用に1・5リットル入りで化粧箱に収めた4980円の商品を売り出す。メルシャンの推計では、今年の日本向け輸出量は前年比約8%減となる見込み。震災時の帰宅難民体験などで外食控えが続いているためで、各社は家庭用の需要掘り起こしに力を入れている。