世界的な人気を誇るスマートフォンゲームのイベント「ポケモンGOフェスト2024」が30日、仙台市内で始まった。昨年の大阪開催では3日間で6万人が集まったという大規模イベント。経済効果は東北絆まつりに匹敵する40億~50億円とも見積もられ、商店街を中心に波及効果への期待が高まった。
商店街は限定シール配布
主会場の七北田公園(泉区)の周辺や市中心部は平日にもかかわらず、レアポケモンを獲得しようと国内外から訪れた大勢のプレーヤーでにぎわった。
オーストラリアから訪れたクリッキーさん(22)は米国人の仲間3人と日曜まで市内ホテルに連泊し、イベントを満喫する。「スペシャルなポケモンを手に入れたい。仙台の観光も楽しみたい。最高のイベントです」と興奮気味に話した。
6月2日までのフェスト期間中、市内は予約で埋まった宿泊施設が多い。
13棟のビジネスホテルを展開する松月産業(仙台市)は期間中、全棟がほぼ満室になった。「特に西日本からの宿泊客が増えた」と担当者。青葉区の「ホテルアジアンリゾート」は連泊の予約が通常より増加した。フェスト参加者とみられる外国人客も多いという。
主催するゲーム運営会社のナイアンティック(東京)と連携し、仙台市は食べ歩きや温泉巡りなどを楽しめる10カ所の公式ルートを設けた。市中心部のアーケード街や秋保、作並の両温泉街、震災遺構を含む東部沿岸地域などへの誘客を図る。
ゲームセンター「GiGO 仙台一番町」は、フェスト開催が決まった3月ごろから、関連の景品を増やし、準備を進めてきた。男性店員は「クレーンゲームの配置をポケモンが前面に出るように変えた。今日の来客は普段より少し多いくらいだが、本番はこれから」と期待を寄せた。
フェストと提携する中心商店街の61店舗は、限定シールを来店者に配布した。普段より来客が3~4割多かったという青葉区の「ずんだずんだカフェ」の女性店員は「テークアウトの商品がよく売れている」と話した。
フェストの国内開催は2019年の横浜、22年の札幌、23年の大阪に次いで4カ所目。経済効果は大きく、札幌で87億円、大阪は54億円と発表されている。
七十七リサーチ&コンサルティング(仙台市)の田口庸友首席エコノミストは「仙台での波及効果は大阪よりわずかに少ないか同規模になるのではないか」と推測し、「初めて仙台に来た人たちにリピーターになってもらえるよう好印象を与えることが、効果をさらに高めるためには必要だ」と述べた。
<45歳中年記者の挑戦記>強力なキャラ入手しノリノリに 運動不足解消にも効果
世界的に人気のスマートフォンゲーム「ポケモンGO」のイベントが30日、仙台市内で始まった。ゲームにもデジタルにもうとい中年記者(45)が、ポケモンに詳しい息子世代の記者ユウ(24)をトレーナーに迎え、魅力を探ってみた。(編集部・勅使河原奨治、根元優)
最大の疑問はどんなゲームなのか、なぜ大勢が夢中になっているのかだった。
「いろんな種類のポケモンを集めて、仲間と交換して楽しみます」
仲間といっても顔見知りになる必要はないらしい。ユウの指導の下、主会場の七北田公園(泉区)を散歩しながらキャラクターを集め始めた。思い入れがない分、最初は何が出ても何とも思わなかった。
「強いキャラクターがいます。近くにいる仲間と戦って、ゲットしましょう」
ユウに勧められるままバトルに参加すると、仲間のおかげで勝つことができた。「やったぁ。ゲットだぜ!」。ついうれしくなる。
名前も知らない仲間に頼り切ったバトルで次々と強力なポケモンを手に入れると、気持ちが乗ってくる。誰かに自慢したくなってきた。
「珍しいポケモンがいます。ゲットしておくと他の人と交換するときに有利です」。ユウに言われるままゲームを進めた。
ゲームは仮想現実(VR)と現実の地図を組み合わせた仕組み。市内だけでなく、全国、全世界の仮想空間にポケモンが散らばり、より多く歩いた人がたくさんのポケモンをゲットできるようになっている。
会場内で明らかに自分より年上に見える初老の女性に出会った。「ただ散歩するより楽しい。孫と同じゲームをすることで会話も弾む」
なるほど、散歩を娯楽にする効果も期待できるということか。確かに数時間参加して、歩数は1万を超えた。運動不足解消のために続けてみるのもありかもしれない。歩きスマホは厳禁で。
「ポケモンGOフェスト」仙台で始まる 6月2日まで
スマートフォンの人気ゲーム「ポケモンGO」の世界的イベント「ポケモンGOフェスト2024」が30日、仙台市内で始まった。珍しいポケモンを入手しようと国内外からプレーヤーが集結。主会場の七北田公園(泉区)はスマホを夢中に操る人が行き交った。
フェストは6月2日までで、探索するとポケモンに出合える公式ルートを仙台城跡(青葉区)や中心部のアーケード街、秋保温泉(太白区)の周辺など10カ所に設定した。週末にかけて市内各地はゲームを楽しむ人々で盛り上がりそうだ。
米国から訪れた男性(38)は「30時間かかった。ラスベガスであったイベントは騒々しかったが静かで全く違う。仙台はみんなフレンドリーで親切。とても気に入っているよ」と話した。