「マスク警察」が進化!? 「不織布マスク警察」が登場、極端な意見「反発的な行動を招く恐れ」と警鐘も

 コロナ禍では、マスクをしていない人を私的に追及する「マスク警察」が議論を呼んだが、現状では一段と厳格化して、布製やウレタン製のマスク着用を批判する「不織布マスク警察」が注目されている。不織布マスクは飛沫(ひまつ)を外に漏らさない効果が高いのは事実だが、心理学の専門家は、「強い呼びかけは、かえって反発的な行動を招く恐れがある」とも警鐘を鳴らす。

 理化学研究所(理研)の研究チームは昨年11月、スーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションに基づき、不織布のマスクはウレタンや布のマスクより飛沫を外に漏らさない性能が高い傾向にあると発表した。一方、不織布は通気性が悪く、装着時に息がしづらい傾向があるとも指摘している。

 同研究チームは、布製のマスクは不織布やウレタンに比べて通気性が良く、性能もウレタンより良いものもあるとし、通常のオフィスに行くだけなら息がしやすい布製を使い、人と集まって密になるような機会には不織布マスクを着けるというように、その日の体調や行動によって選ぶことを提案している。

 今月、会場で成人式を開催した東京都杉並区や茨城県つくばみらい市では、新成人らに不織布マスクを配布し着用を促す場面がみられた。民間病院や美容院でも、来院者に不織布マスクの着用を呼びかけている例が増えているほか、ある国立大でも不織布マスクの着用を推奨する総長名のメッセージを出した。

 ネット上では性能が低いとされるウレタンマスク着用者を批判する声もある。一方、「肌や気管支の問題で、常に不織布マスクを着用することは難しい」「マスクの素材より、マスクのつけ方を注意してほしい」という意見もある。

 東京未来大学の出口保行教授(犯罪心理学)は、「コロナの状況悪化に精神的な負荷を受けると、情報を取捨選択する視野も狭くなり、『不織布マスクでなければ意味がない』という極端な意見になりやすいのではないか」とみる。

 大学入学共通テストでは、マスクから鼻を出した状態で試験を受けた受験生が各科目の監督者から計6回注意を受けたが従わず、不正行為と認定されて失格となったトラブルもあった。

 出口氏は「着用マナーがあまりに厳格化すると、あえて注意に反発しようとする動機も高まり、かえってマスクを着用しなくなる動きにつながりかねない」とも警鐘を鳴らす。

 それぞれの立場で感染を予防していることへの理解も重要だ。

タイトルとURLをコピーしました