J1仙台のMF千葉直樹(33)は、引退発表から一夜明けた3日、仙台市のクラブハウスで取材に応じ、引退を決めた現在の心境などを語った。1996年の入団から仙台一筋で15年プレーした「ミスターベガルタ」に、チームメートからは感謝の声が聞かれた。
―引退を決意した理由は。
「たくさんある。自分の体にうまくいかない部分がたくさん出る中で、チームの成熟を感じられるようになった。いろんな意味で(引退が)今年でいいと思った」
―まだやれるとの周囲の声もあったと思うが。
「未来の仙台に希望を感じたのが、(引退を決めた)一番大きな理由だと思う。来年以降の仙台はもっと強くなっていくと思うし、そうなってもらわないと困る。そのために僕は身を引く」
―この時期に発表した理由は。
「昔から応援してくれた人にきちんと報告したかった。残り試合があり、まだ見に来てもらえる。その中でプレーしたいという思いもあった」
―選手生活の一番の思い出は。
「今シーズン。昨年のJ2優勝メンバーがほとんど残り、J1に初めてチャレンジする選手が多かったが、若い選手も臆(おく)することなくプレーしたことがうれしかった。これからの仙台の未来を想像できた」
―地元クラブで選手生活を全うする心境は。
「Jリーグの中でも数少ない状況。地元出身で、地元で長くプレーできたのは、最高に幸せだったと思う。15年を振り返っても、指導者やチームメートら、周りの環境に恵まれた」
「僕を育ててくれた仙台というチームと街には本当に感謝している。どんな形になるか未定だが、少しずつお礼をしたい」
―チームメートとはどんな話を。
「まずはリーグ戦で(J1残留という)結果を出し、15年のサッカー人生、最後は笑って終わりたいと話した」
―今後の進路は。
「まずはあと1カ月(のリーグ戦)。そこまでは走って、後のことはその後に考えたい。次の神戸戦は大きな一戦。この話(引退)はきょうまでにして、あしたからは試合モードにしたい」
◎残り6試合「花道飾る」/チームメート、感謝の声
千葉の引退発表に梁勇基は「寂しい思いは正直ある」と語り、「体を張ったプレーや痛みをこらえてクラブハウスで試合の準備をする姿から、チームへの思いを(周囲に)伝えてくれた」と感謝した。
地元クラブで15年のプロ生活を全うすることに驚嘆の声も。斉藤は「一つのチームでやり続けることはどれだけ難しいことか。15年にわたり、クラブに毎年、必要とされ続けた積み重ね。一緒にやれたことを誇りに思う」とたたえた。
若手に与えた影響も大きかった。富田は「読みの能力がすごく、試合でボランチを組んだときはフォローしてもらった。自分も若い選手に伝えていきたい」と語り、菅井は「ずっとベガルタを背負ってきた尊敬する選手。(今後は自分が)背負っていかなくては、という気持ちは持っている」と意気込んだ。
今季加入の高橋は「試合に出られない時期も『お前の力はそんなものじゃない』と励ましてもらった。期待に応えられるようにやるしかない」と表情を引き締めた。
「早くJ1残留を決めて、一つでも上の順位で、花道を飾りたい」。各選手は千葉への思いも胸に、残り6戦に臨む。