山口県の萩博物館(萩市)は、萩市の離島・見島で、国内では限られた場所でしか見つかっていない「ユリヤガイ」を、生きた状態で約30年ぶりに確認したと発表した。
水産大学校(下関市)の村瀬昇教授の協力で、同館の堀成夫・総括研究員が25日、島の砂見田ケ浜(さみだがはま)沖数百メートルの深さ約2~3メートルの海中を調べた。ユリヤガイの餌になる海藻や周辺の砂、小石などを採取して調べたところ、体長約5ミリの生きたユリヤガイ2体を確認した。
ユリヤガイはアサリやハマグリのように2枚の貝を持ちながら、カタツムリのような巻き貝の本体を持つ緑色の貝。1962年5~6月に見島で実施された調査で国内で最初に存在が確認され、これまでに下関市の角島や伊豆半島、沖縄などで見つかっている。見島では80年代初めまで生きたユリヤガイが確認されていたが、近年は海岸に漂着する貝殻も激減していた。
堀さんは「島の誇りである貝が生きる豊かな環境が守られていた証しだ。どのような環境で貝が生きられるかを調べ、保全対策も考えていきたい」と話している。
同館(0838・25・6447)は採取したユリヤガイを31日午後2~3時に公開する。ユリヤガイが弱った場合などは中止する。