「ユー! ズルいよ!」性加害を拒否した僕にジャニー喜多川は言った 男闘呼組・元メンバー土田一徳氏「35年目の告白」

「異質な世界なんですよ。誰かが触られていても、それが日常で、なんか特別なことっていうわけでもないような世界」

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 そう“合宿所”の空気を表現するのは、土田一徳氏(53)。昨年から活動を再開したジャニーズ出身のロックバンド・男闘呼組のメンバーだった人物だ。

当時の合宿所には少年隊、男闘呼組、中村繁之が住んでいた

 土田氏がジャニーズ事務所に入ったのは、高校に入学した1985年春のことだった。小さい頃からピアノを習っていた土田氏は、ジャニーズにいた知人から、

「男闘呼組というバンドを作る。キーボード奏者が必要だから」

 と勧誘を受けたという。

 当時原宿にあったジャニー氏の自宅マンション、通称「合宿所」に行き、男闘呼組のメンバーと対面した。

「マッチはもう出て行っていて、少年隊、男闘呼組、中村繁之君らが住んでいた。ジュニアも時々泊まりに来ていました」

「ユー。やっちゃいなよ」正式にジャニーズで活動することが決定

 そこでジャニー氏とも初めて会った。リビングのソファに座るジャニー氏は、初対面の土田氏を、「おいで」と隣に座らせると、服の上から身体を撫でた。

「ベタベタ触られて。腕やお腹なんかをずっと擦られてました。でも、周りにいた男の子たちは平然とファミコンをしていた。5人以上はいたと思います」

 その後、ジャニー氏に「ご飯行こう」と誘われ、岡本健一、高橋和也、成田昭次と一緒に、新宿のロイヤルホストに行った。

「ユー。やっちゃいなよ」

 そう言われて、土田氏は正式にジャニーズで活動することになった。

18歳の頃、とうとうその日が

「『ユー。泊まりなよ』と言われたけど、初めて会った人の家に泊まるのは抵抗があった。それで『遅くなっても帰ります』と言って、その日は帰りました」

 その後、土田氏は親にも許可を取り、合宿所で生活するようになる。

「毎日メンバーと今後について話したり、渋谷にあるスタジオで練習する日々。みんな家に帰らず、合宿所から学校に通いました。僕は1年生の途中で留年が決まってしまったので、通信制の学校に転校しました。卒業したのは20歳になる頃です」

 そして18歳になっていた1987年の終り頃のこと。

「ドラマも仕事もないときでした。ジャニーさんから『いっぱい出てるんだから、もったいないから、今後を考えなきゃいけないよ』と言われて、よろしくお願いします、とジャニーさんのアクション(仕事の指示)を待っている状態でした」

後ろから抱きしめられ、振り返って押そうとしたら…

 合宿所を訪れた土田氏は夕方、部屋着に着替えて、疲れてマットで横になっていた。

「ちょうど、男闘呼組のメンバーがいなくて、ジャニーさんの他は、家政婦と数名のジュニアだけ。合宿所はガランとしている状態でした。しばらくすると布団の中にジャニーさんが入ってきた。『とうとう、俺のところにきた』と思って」

 ジャニー氏は、土田氏を後ろから抱きしめてきた。

「後ろから触られて、嫌だった。振り返って押そうと思ったら、ヒザがジャニーさんのお腹にドーンと入ったんです」

 するとジャニー氏は、

「ユー! ズルいよ!」

 と言ったという。

「それは鮮明に覚えてる。なぜそう言ったのか理解できなかったし、今でもわからない。すぐ着替えて合宿所を飛び出しました。そこで我慢しようとか、そんなふうに思わなかった。非日常的なことが起きるなかで、自分はそこに対して、違和感はずっと持っていたから」

芸能界を離れて暮らしていた人間もネットで晒される

 その日を境に合宿所に行かなくなかったが、ジャニー氏からも、男闘呼組の仲間からも連絡はない。翌年、男闘呼組はCDデビューする。

「僕に対して、商品価値があると思ったのならば、呼び戻されたでしょう」

 いま土田氏は、東京から離れた地方で暮らしている。

「この問題で、僕みたいに芸能界を離れて暮らしていた人間もネットで晒され、死亡説まで立てられた。周囲にも『ジャニーズにいたよな』と変な目で見られる。日常が脅かされているので、事実と違うことは違うと公にしないと生きていけない。それで取材を受けたのです」

ジャニーズ事務所からの回答は得られず

 ジャニーズ事務所に土田氏の証言について事実確認を求めたが、

「現在、再発防止特別チームによって検証頂いている内容であるため、回答を差し控えさせて頂きます」

 このほか、6月21日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および6月22日(木)発売の「週刊文春」では、土田氏が明かす男闘呼組の演奏の裏側、俳優業での苦悩、ジャニーズ退所後の日々、合宿所の部屋でジャニー氏が上着を脱いで裸になったので逃げ出した元ジュニアの告白、合宿所の風呂にジャニー氏がジュニアと一緒に入っていたことなどについて詳報している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年6月29日号)

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