「リアス美術館」宮城・気仙沼市に移管へ 基金枯渇で26年4月に 広域組合方針

 宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館の運営主体となっている気仙沼・本吉地域広域行政事務組合(気仙沼市)は、2026年4月に美術館の運営を市に移管する方針を決めた。企画事業費などの財源に充てる基金が枯渇する見通しとなっており、本年度から運営体制の見直しを検討していた。

 組合議会全員協議会が29日あり、組合事務局が方針を説明した。美術館は現在、市と宮城県南三陸町で構成する組合が基金と市の負担金などで運営する。当初は基金の運用益を運営に充てる想定だったが、低金利で目算が狂い、06年度から基金を取り崩して補っていた。

 組合管理者の菅原茂市長と副管理者の佐藤仁町長は今月12日、市が運営経費を負担してきた経過や立地などを踏まえ、26年4月に市へ移管する方針を確認。移管に伴う規約変更の手続きなどは来年9月、両市町議会で議決を目指す。

 5年ごとに定める美術館の運営計画によると、25年度終了時点で使用可能な基金残高は計約4600万円に減少し、26年度以降は基金による企画事業費の確保が難しい状況になっている。組合事務局の担当者は「市への移管で安定的な運営を目指したい」と話す。

 美術館は、県が1990年度に始まった広域圏活性化プロジェクトの一環として30億円の事業費を投じて建設。94年に開館し、市町村合併前の1市5町(気仙沼市、志津川町、津山町、本吉町、唐桑町、歌津町)で構成していた組合が運営主体となった。

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