梅果汁メーカー最大手の中野BC(和歌山県海南市)は、30種ある梅酒製品のラインアップを強化、年間4種程度の新製品を投入していく計画だ。今月は「レモンジンジャー梅酒」を、来年2月には「紅芋梅酒」を相次ぎ発売する。同社は根強い梅酒ブームに対応し、ブルーベリーや緑茶、シークワーサーなど梅酒製品のバリエーションを拡大、大都市圏での人気商品も少なくない。今後さらに多様な食材との相性を研究し、主力の日本酒に並ぶ経営の柱として梅酒事業の拡大を狙う。
22日に発売するレモンジンジャー梅酒は、ベースの梅酒に、レモン果汁とショウガ汁を加えることで、飲みやすくさわやかでキリッとした味に仕上げた。紅芋梅酒は、サツマイモのまろやかな甘みと梅酒の酸味の調和をねらっており、芋焼酎ファンの取り込みも狙う。
日本洋酒酒造組合の調査によると、国内の梅酒市場は、焼酎ブームが一段落した2004年以降、増加を続けており、09年は3万5234キロリットルと過去最高を更新。10年も前年比増加が確実視されている。梅酒は低アルコールに加えて健康志向にも合って若者や女性を中心に需要が拡大。最大手のチョーヤのほかキリンホールディングスやサントリーなども梅酒事業を強化するなど、酒類市場で数少ない成長分野として期待が高まっている。
中野BCは、高級品種で知られる南高梅の主産地である立地の良さを最大限に生かし、梅生産業者との連携による限定梅酒など地場梅酒メーカーとしての強みを発揮し、製品群を増やしてきた。
8月下旬にはブルーベリー果汁を30%加えてフルーツジュース感覚の梅酒を限定発売。女性を中心に隠れた人気製品となりほぼ完売した。緑茶梅酒は、すっきりした飲み口が人気で、各地の居酒屋などで取扱店が増えている。
中野BCの梅酒事業の売上高は05年に4000万円だったが、09年には10億円に急成長した。梅果汁では国内市場の7割以上を占める最大手で、大手酒造メーカーなどにも納入している。同社の09年9月期の売上高は37億円で、今期は微増を見込む。主力の日本酒部門は日本酒需要の落ち込みが響き減少が続いているため、今後、梅酒事業をさらに育成する方針だ。
現在、同社の研究開発部門である食品科学研究所を中心に、新種の梅を使った梅酒など複数の梅酒製品の開発を進めている。梅の健康促進機能の研究にも取り組んでおり、梅果汁を濃縮した梅エキスは健康補助食品として注目される。
中野BCは1932(昭和7)年のしょうゆ醸造を手始めに業容を拡大。02年に、中野酒造から、「バイオケミカル・クリエーション」の頭文字を取った中野BCに社名変更した。