「レーガン桜」で発泡酒 ほのかな甘みと香り

東京都足立区の舎人(とねり)公園にある「レーガン桜」の花から採取した酵母を使ったビール(発泡酒)が、11月から本格発売される。千住地区の酒店9軒でつくる「酒千会(しゅせんかい)」(成田一司代表)が企画し完成させた「あだち桜エール」で、中には日米の間に生まれた桜交流の物語への思いが詰まっている。
 明治45(1912)年、南足立郡江北村(現足立区江北)の荒川堤にあった五色桜の苗木が米国に贈られ、首都ワシントンのポトマック河畔に植樹された。いまではすっかり桜の名所に。一方、“本家”の荒川堤の桜は河川改修などで衰退の一途をたどった。憂えた区が米国に働きかけた結果、昭和56(1981)年にレーガン大統領夫人の計らいで“里帰り”したのが「レーガン桜」だ。
 来年は、五色桜が米国に渡ってちょうど100年。区制施行80周年でもある。酒千会が記念に何かできないかと考え、発案したのが桜の花の酵母を使ったビールづくりだった。今春、レーガン桜の花を採取。同様のビールをつくった経験がある地ビール会社「新潟ビール」に製造を依頼した。
 今月初めに出来上がったあだち桜エールを8、9日の区民まつりで480本限定販売したところ、瞬く間に売り切れ。「次はいつ売り出すのか」との問い合わせが相次いだため、当初12月上旬の予定だった本格販売を1カ月ほど繰り上げることになった。とりあえずラベルを1万枚作り、発売に備えているが、売れ行きが好調であれば、増産も考えるという。
 成田代表は「ほのかな甘みがあり、桜の花を思わせる香りがする。このビールを飲んで、素晴らしい桜交流の物語をもっと知ってほしい」と語っている。1本350ミリリットルで、378円。酒千会の加盟店で購入できる。問い合わせは成田酒店(電)03・3881・6056。

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