家電量販店で万引きしたとして、三重県警に窃盗容疑で逮捕された津市の無職男(53)が、盗品売却による犯罪収益を妻の口座に隠していた疑いが強まり、県警は20日、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑で追送検する。捜査関係者への取材で分かった。10年間に万引きで重ねた被害総額は1億円に上り、県警は名古屋国税局に約7000万円の課税通報をしている。
県警の発表によると、昨年8月5日と6日、津市内の家電量販店から、ワイヤレスイヤホンを計5個(販売価格計約13万7500円)盗んだ疑い。
捜査関係者によると、男が約10年にわたり、愛知県や大阪府、静岡県など少なくとも18府県の家電量販店に毎日のように通って、イヤホンや脱毛器、半導体メモリーなどの万引きをしていたという。
津地裁で行われている公判で男は起訴された万引き8件の事実を認めている。盗品は名古屋市内の質屋に持ち込んで、自身の身分証を示した上で売却し、妻と子ども2人との生活費に充てていた。「少しぜいたくな生活を送りたかった」と話している。
質屋の取引記録や、男と妻の口座への捜査から、被害総額は少なくとも1億円に及ぶことが判明。県警は犯罪収益を妻の口座に隠したなどとして、組織犯罪処罰法違反容疑で追送検する。犯罪による所得を申告しなかったとして3月には名古屋国税局に約7000万円の課税通報をした。
捜査関係者は「防犯カメラの死角を選んで、盗難防止用タグを外してリュックに詰めたり、店のパンフレットの隙間に挟んだりと手口は巧妙。万引きではなく、『億引き』だ」と語った。