「三重で地鳴り」 ネット書き込み相次ぐ

地鳴りが聞こえた。大地震の前兆では-。インターネット上で県内のユーザーからこんな書き込みが相次ぎ、街の話題になっている。津地方気象台によると、書 き込みのあった十二日未明には津市沖で微弱な地震が起きていた。今月上旬は雨の日が多かったことから、土砂災害の前兆として地鳴りが起きた可能性を指摘す る専門家もいる。
◆「土砂崩れの予兆」指摘の識者も
「今のは確実に地鳴り」。インターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」などでは十一日深夜~十二日未明にかけ、県内で地鳴りを感じたという人の書き 込みが相次いだ。茨城県内の海岸に十日、大量のイルカが打ち上げられたことと関連付け、「大地震の前兆か」と不安をつづる内容も目立った。
津地方気象台によると、地鳴りに関する一般の問い合わせはこれまでに五件あった。地震は震度計や津波計で計測するが、地鳴りは観測事項になく、発生の有無は分からないという。
気象台によると、十二日午前一時すぎ、津市沖の伊勢湾でマグニチュード最大2・4の地震が五回起きた。ただ、いずれも微弱で、体に揺れを感じる震度1を下回ったため発表はしていない。揺れを感じない震度ゼロの微弱な地震は、常に起きているという。
同気象台の滝沢倫明(ともあき)・東海地震防災官は「震源に近い沿岸部の住民が、かすかな揺れや地鳴りを感じた可能性は否定できない」と話す。気象台によると、十一日から二十三日の夕方現在、県内八十七カ所の観測地点で震度1以上の地震は発生していない。
地鳴りは地震で起きるとは限らない。三重大大学院生物資源学研究科の葛葉泰久教授(自然災害科学)は「土砂災害の予兆だった可能性もある」と話す。
雨などで土砂崩れが起きる前に、地表部分の土が滑り落ちたり、木の根が切れたりして音がするケースがあるという。今月上旬の県内は雨の日が多く、地鳴り の報告があった前日の十日は、津市で一九・五ミリの降雨を記録。住宅部に近い山で小規模な土砂崩れが起き、その音が聞こえた可能性も考えられる。
(池内琢、安藤孝憲)

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