「上場企業1,803社の平均年間給与」調査 2020年3月期決算

 2020年3月期決算の上場1,803社の平均年間給与(以下、平均給与)は630万5,000円(前年同期629万円)だった。前年同期より1万5,000円(0.2%)増加した。平均給与は2012年3月期以降、9年連続で上昇したが、伸び率は鈍化した。平均給与の中央値は前年同期と同額の614万円。
 平均給与の最高は、売掛債権保証のイー・ギャランティの2,413万1,000円(前年同期485万1,000円)。株式報酬が大幅に増加し前年同期1561位から急伸、唯一、2,000万円台に乗せた。
 上位10位は、総合商社5社と不動産3社、M&A仲介などで、大手商社と財閥系不動産の安定ぶりを示した。1,000万円以上は33社(前年同期27社)で、過去最多を更新した。
 銀行トップは、あおぞら銀行の793万円(前年同期803万7,000円)で、全体順位は193位。
 なお、対象外の持株会社247社では、最高は東京放送ホールディングスの1,622万4,000円で、1,000万円以上は前年同期と同数の30社だった。
 業種別の最高は、4年連続で建設業の756万1,000円(前年同期748万6,000円)。一方、最低は小売業の494万7,000円(同483万5,000円)だったが、小売業は9年連続で増加している。
 国税庁の民間給与実態統計調査(平成30年分)によると、平均給与(正規)は503万5,000円(全体440万7,000円)で、上場企業(2020年3月期)とは127万円の差が生じている。

  • ※本調査は、2020年3月期決算(8月31日まで提出)の全証券取引所の上場企業を対象に、有価証券報告書の平均年間給与を抽出、分析した。2011年3月期決算から連続で比較可能な企業を対象(変則決算企業は除く)に、持株会社は除いた。業種分類は証券コード協議会の定めに準じた。

産業別 建設業が4年連続トップ

 産業別の最高は、業績が好調だった建設業の756万1,000円(前年同期748万6,000円)。2017年3月期(728万円)から4年連続でトップを維持し、2016年3月期から700万円台で推移している。
 以下、不動産業749万6,000円(前年同期736万3,000円)、電気・ガス業689万円(同688万7,000円)と続く。建設業は人材確保のための賃金アップも寄与したとみられる。
 一方、最低は小売業の494万7,000円(同483万5,000円)で、唯一、400万円台にとどまった。
 小売業とサービス業は、9年連続で平均給与が前年同期を上回っている。
 建設業と小売業の差は261万4,000円(同265万1,000円)で、前年同期より3万7,000円縮小したが、依然として1.5倍の差が生じている。

平均給与1,000万円以上は過去最多の33社

 平均給与の最高は、売掛債権保証のイー・ギャランティで2,413万1,000円。前年同期の485万1,000円の約5倍(4.9倍)に増加し、唯一、2,000万円台に乗せた。
 2位は、日本商業開発1,921万円(前年同期1,501万1,000円)、3位は三菱商事1,631万8,000円(同1,607万7,000円)4位は伊藤忠商事1,565万7,000円(同1,520万7,000円)、5位は丸紅1,452万7,000円(同1,389万3,000円)だった。
 上位10位には総合商社が5社、不動産3社が名を連ねている。
 増加率トップは、イー・ギャランティで前年同期比397.4%増で、好業績を反映し、給与のほか、株式報酬(株式付与ESOP信託制度による給与)が大幅に増加し、平均給与を押し上げた。
 平均給与1,000万円以上は33社(構成比1.8%)で、前年同期より6社増え過去最多を更新。
 このほか、500万円以上600万円未満は530社(同29.3%)、600万円以上700万円未満も518社(同28.7%)と拮抗し、500万円未満は286社(同15.8%)だった。

東京商工リサーチ
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