「世界2番」盛岡に海外から注目 NYタイムズ効果、問い合わせ増加

人口30万人弱の東北の地方都市が、世界の都市の中でにわかに注目されている。今年1月、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が「2023年に行くべき52カ所」の一つとして、ロンドンに次いで2番目に盛岡市を紹介したのだ。これを受け、観光情報などを求める盛岡市役所への問い合わせが急増するなど反響が広がっている。

 「はい、じゃんじゃん」

 「はい、どんどん」

 岩手名物のわんこそばを提供している盛岡市のそば店「東家(あずまや)」で今月8日、外国人観光客3人が慣れない箸を使い、次から次へと給仕されるそばをかきこんでいた。100杯を超えると「too much」。

 同店の馬場暁彦社長(52)によると、NYTで紹介されてから、欧米からの客らが増えているという。

 「52カ所」は、NYTの記者らが推薦した世界各国の都市から毎年選ばれる。国内ではこれまで大阪や東京、京都などが選ばれていて、今年は盛岡市のほか、福岡市が19番目に載った。

 NYTの記事は盛岡市について、混雑を避けて歩いて楽しめる美しい場所▽山に囲まれ、いくつもの川が流れる豊かな自然がある▽盛岡城跡や赤れんがの岩手銀行旧本店本館など和洋折衷の伝統的な建物が並ぶ▽東京から新幹線で約2時間、などと紹介している。

 盛岡を推薦したライターのクレイグ・モドさん(42)=神奈川県鎌倉市在住=は今月7日、盛岡市を訪れ、谷藤裕明市長と対談した。日本滞在約23年で、国内各地を巡ってきた。盛岡市は20年に初めて訪れ、「市民の優しさにプラスして、料理もおいしく、歴史がある街並みは歩きやすい」とひかれたという。

 ただ、これまで、東北を訪れる外国人観光客の数は多いとは言えなかった。18年の訪日外国人のうち、東北で宿泊したのは1・5%というデータもある。

 盛岡市は掲載を機に1月16日に特設ホームページを立ち上げた。同30日時点、計3万5千件を超すアクセスがあった。月約15件だった移住に関する相談は、報道から2週間で26件に。市の観光パンフレットを欲しいという問い合わせも、昨年1月は19件だったが、今年1月は65件に増えた。65件のうち41件がNYT掲載後の件数だという。

 市は、観光地や飲食店を載せた7カ国語対応の盛岡市街地デジタルマップの活用を、訪れた外国人に宣伝していく。飲食店や宿泊施設に対しては、おもてなしセミナーも開く予定だ。(西晃奈)

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