「中高年フリーター」50万人の老後

フリーターの高齢化が進んでいるそうだ。15日の日経夕刊は、アルバイトやパートで生計を立てている35~44歳が50万人(2011年平均)に上り、過去最高になったと伝えた。就職氷河期に高校や大学を卒業した人たちが40歳前後になった影響としている。みんな20年前後もフリーター生活を続けているということだ。
  企業はどんどん海外に出て行き、国内は仕事が減っている。雇用環境が改善する見込みは薄い。大学を卒業しても、働くのが難しい時代に入っている。
  新卒者は中国、ベトナム、タイ、インドネシアといった国の人たちとスクラッチで競争だ。高い給料をもらって働くには、何らかの技術や能力が必要。学歴だけでは、どうにもならなくなっている。
  日本は終身雇用で、一度就職すると、なかなか辞めない。最近は少し状況が変わってきたが、万人が活発に転職する社会ではないし、それまでに積み上げた知識や技能がピカピカに光っている人材は企業にとっても大切だろう。しかし、それで雇用が硬直化すれば、若い人たちの機会が失われる。
  パート暮らしは老後も厳しい。現在は主に自営業者向けの国民年金に加入している人が大半だろうが、毎月6万円程度の給付では大変だ。小生は厚生年金と私学共済を受け取っているが、それでも電気やガス、水道など、生活に欠かせないライフラインの負担などでおおむね消える。日々の食費は妻の年金で賄っているのが実情だ。
  給料が安いフリーターは、蓄えもないだろう。これから、さらに20年後、50万人の中高年フリーターが60歳前後を迎えるとき、満足に暮らせなくなる恐れは強いのだ。もしかしたら、老人たちの暴動により、社会は非常に不安定になるかもしれない。
  野田首相は今年1月、連合の古賀会長らを官邸に招いた際、「分厚い中間層の復活を理念に掲げている」と強調。「非正規雇用対策の充実を期した法案を提出する」と話した。今国会にフリーターの年金対策を盛り込んだ法案も提出する。しかし、厚生年金などに加入できるようになる非正規労働者の数は、当初の370万人から45万人に縮小された。
  やるべきことは増税だけではない。

タイトルとURLをコピーしました