東北大産学連携機構イノベーション戦略推進センターの永富良一特任教授(スポーツ科学)、金瑞年研究員らのグループは、二酸化炭素(CO2)濃度が高いと眠気が強くなることを客観的な指標で確認したと発表した。換気の悪い屋内でCO2が眠気につながることは知られていたが、その関係を厳密に調べた研究は初めてという。
グループは睡眠障害の検査で使われる手法を活用した。20代の健康な男性11人を対象に、消灯から入眠までの時間を脳波などから測定。CO2濃度を約5000ppmに高めた部屋では、濃度約1000ppmの通常の環境より平均約3.4分、早く眠ることが分かった。
アンケートで主観的な眠気について聞くと、CO2濃度の高い方が、やはり眠気を強く感じていた。実験前後の認知テストでは有意な変化がなく、睡眠を取り、目覚めた後の認知機能にはCO2の影響はないとみられる。
5000ppmは省令で定める事務所衛生基準の上限の濃度で、内気循環の自動車内でも達する数値という。金研究員は「仕事や休息のための快適な環境づくりや、薬を使わずに睡眠を促す手法の開発につながる可能性がある」と期待する。