「今こそ自然の中へ」87歳三浦雄一郎氏、同世代、道民へエール「山までコロナ来ない」

 新型コロナウイルス禍は、まだ収束が見えない。子どもたちは臨時休校などで活動を制限され、スポーツや音楽のイベントも相次ぎ中止。各種施設は休業を余儀なくされ、消費落ち込みで道内経済にも深刻な影響が及んでいる。我慢との戦いはどこまで続くのか、各界からのエールを紹介する。プロスキーヤー・冒険家で、クラーク記念国際高の校長も務める三浦雄一郎氏(87)は「今こそ自然の中へ」と呼びかけた。(取材・石井 睦)

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 新型コロナウイルスによって、私と同世代の方が亡くなるなど、かつてない厄難に見舞われています。早くウイルスを制圧する治療薬が開発されれば良いのですが…。

 私も影響は受けています。例年だと、この時期はクラーク記念国際高の校長として各キャンパスの卒業式で式辞を送るのですが、今年はビデオメッセージに変更するなど縮小化せざるを得ませんでした。残念です。この状況だと、入学式も通常の形でできるかどうか。九州など全国各地で予定されていた講演会の方も4~5件が中止となりました。

 しかし、だからといって、ふさぎ込んでいるわけではありません。時間が空いたおかげで、毎日スキーをたっぷり滑ることができるのですから。午前と午後に分けて合計3時間。総距離で50~60キロになるでしょうか。例年の10倍くらい滑っているから、ご飯もおいしいし、体調もすこぶる良いですね。

 こんな時だからこそ言いたいのは「自然の中へ飛び込もう」。都会を離れ、人混みを避け、山まで来ればウイルスも追いかけてこないでしょう。スキー、キャンプ、ハイキング…。アウトドアで自然とまじわれば、ストレスも和らぎ、免疫力もアップするのではないでしょうか。

 昨年は南米大陸最高峰のアコンカグア(6959メートル)への登頂を目指しましたが、ドクターストップがかかり途中で断念しました。残念でしたが、もう次の目標に切り替えています。「90歳でキリマンジャロ登頂」。それも家族三世代で挑みます。人類の年齢的な限界を超えてみたい。何歳であろうが、目標を持つことがパワーを生み、アンチエイジングとなるのです。今は目標に向けて体力を蓄える時間ととらえ、楽しんでスキーを滑っています。(プロスキーヤー・冒険家)

 ◆三浦雄一郎(みうら・ゆういちろう)1932年10月12日、青森市生まれ。87歳。北大獣医学部出身。クラーク記念国際高校長。64年、スキーのスピードを競うキロメーターランセで時速172・084キロの当時世界記録を樹立。66年に富士山直滑降。70年にエベレストの世界最高地点からスキー滑降。70歳だった03年をはじめ08年、13年といずれも世界最高齢(当時)でのエベレスト登頂を果たした。家族は妻と2男1女。

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