「仙台スタートアップ戦略」策定 地元産学官が新指針 「大学発」や社会起業家を重点支援

仙台市や東北大、東北経済連合会など産学官金12団体で組織する「仙台スタートアップ・エコシステム推進協議会」(会長・郡和子仙台市長)は、スタートアップ(新興企業)支援の指針となる「仙台スタートアップ戦略」を今夏策定した。東北大の革新技術や、東日本大震災を背景とした社会貢献意識の高まりといった「仙台らしさ」を踏まえ、大学発ベンチャーと社会起業家を重点支援する方針を盛り込んだ。

世界からイノベーター集う都市に

 策定は7月。基本方針では支援対象とともに、市が目指す姿を「仙台・東北から世界を変えるスタートアップが生まれ、世界中からソーシャルイノベーターが集う都市へ」とした。

 その実現に向け、起業家教育など「ヒト」、創業支援施設の強化など「モノ」、ファイナンス支援など「カネ」、支援策発信の強化など「情報」の4点を、関係機関が取り組む重点施策として提示。各団体が取り組む具体的施策は表の通り。

 協議会が実施した地元起業家へのアンケートを参考に課題を明記した。仙台の起業環境については、最高経営責任者(CEO)、最高財務責任者(CFO)を担う人材やベンチャーキャピタルの不足、起業家の相談に応じる大規模支援施設の欠如を挙げた。

 一方、東北は少子高齢化が進む「課題先進地域」で、震災後に復興のために起業の動きが活発化した経緯がある点や、2024年度に東北大青葉山キャンパス(青葉区)で稼働予定の次世代型放射光施設「ナノテラス」があることなどを「仙台の強み・特徴」として活用する方向性を示した。

 協議会は19年12月に設立し、市は20年に政府から「スタートアップ・エコシステム推進拠点都市」に選ばれた。20~24年度の拠点形成計画は「スタートアップ創出300社以上」「支援企業の資金調達額が50億円以上」などを目標を掲げ、今年6月時点では創出215社、資金調達額32億200万円となっている。

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