「仙台七夕まつり」訪日客どっと 円安などが追い風、通訳者の会「これほど多いとは…」

円安などを背景にインバウンド(訪日客)の増加が続く中、仙台七夕まつりが開かれている仙台市でも多くの訪日客が観光を楽しんでいる。JR仙台駅で通訳ボランティアをする団体からは「前年を超えるペースで訪日客に対応している」との声も上がり、まつりの知名度は訪日客の間でも高まっているとみられる。(経済部・樋口汰雅、水内杜子)

台湾や中国の観光客が目立つ

 「ようやく七夕まつりに来ることができた」。中国から妻と来日した会社員徐浩然さん(52)は喜んだ。仙台を訪れるのは2018年以来、2度目。前回、宿泊したホテルで七夕まつりを紹介され、コロナ禍後の来訪を心待ちにしていた。

 「仙台駅から近い市中心部で、これほど盛大に開かれる祭りはすごい。細かい所まで装飾され、見るのが楽しい」と声を弾ませた。

 中国人の飲食業カルビン・ワンさん(38)は3日に来日し、新潟県などを巡った後、七夕まつりが開幕した6日に仙台入りした。「上海にも似た祭りはあるが、仙台の方が伝統がある。飾りも他の地域より大きい」と満足そう。名物の牛タンや買い物も楽しんだという。

 中心商店街で6日にあったミニ飾りの制作体験会場にも訪日客の姿があった。米国から家族4人で来仙したイ・エレナさん(35)は「それぞれの飾りに意味があるのがとても興味深い」と話した。5歳の長女は完成した小さな吹き流しを大事そうに箱に入れ「家で飾りたい」とほほ笑んだ。

 訪日客の増加で案内役もサポートに力を入れる。

 宮城県内の通訳ボランティアでつくる宮城善意通訳者の会(仙台市)は3日間のまつり期間中、メンバー延べ28人が仙台駅2階の観光案内所で、訪日客の問い合わせに応じたり、多言語対応のパンフレットを配ったりしている。

 仙台駅で七夕まつりの案内役を約40年続ける同会は、昨年のまつり3日間で過去最多の422人に対応した。今年は初日の6日だけで238人を接客し、会長の伊東仁さん(69)=宮城県大崎市=は「これほど多いとは思わなかった」と驚いた。

 台湾や中国の観光客が目立つ。問い合わせは中心商店街までの経路や外貨両替所の場所などさまざま。英語やポルトガル語でも対応する。伊東さんは「七夕を楽しめるように、少しでも役に立ちたい」と語った。

タイトルとURLをコピーしました