「個人融資掲示板」犯罪の温床に

法的規制なし

 携帯電話会社のインターネット決済サービスに不正に接続し、電子マネーをだまし取ったとして、道警に逮捕された水戸市の男が、ネット上の「個人間融資掲示板」を悪用して「1千万円ほど稼いだ」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。掲示板は多重債務者らが借入先を探す手段になっているが、現金や個人情報をだまし取られる被害が相次ぐ。掲示板に対する法的規制はなく、専門家は「犯罪の温床になっている」と指摘する。

「家族にも相談できず、追い詰められ掲示板にすがったが間違いだった」。男に個人情報を悪用された函館市の40代の男性はそう悔やんだ。男性は取引先の倒産で200万円が回収不能になり、ネットで現金の貸し借り相手を探す個人間融資掲示板に頼ったという。

IDとパスワード聞き出す

 道警によると、不正アクセス禁止法違反容疑などで3日に逮捕された薗田徹(38)、吉井学(39)両容疑者=いずれも水戸市=は1月、男性の携帯電話のIDとパスワードを使い、ネット決済サービスに接続。電子マネー4万8千円分を購入し、だまし取ったとされる。薗田容疑者は容疑を認め、吉井容疑者は「薗田容疑者の指示で金を引き出しただけ」と否認している。

2人は男性の依頼に応じるよう装い、実際には融資せずに「本人確認」の名目でIDとパスワードを聞き出した。不正購入した電子マネーは転売して現金化。口座には約300回の入金記録があり、捜査関係者は「金策に苦しむ心理に付け込み、同様の手口を繰り返していた」とみる。

北海道新聞

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