「倒産・廃業の予備軍多い」 年末ごろから急増の恐れも

新型コロナウイルス関連の倒産が11日で474件に達した。様々な給付金や資金繰り支援策で落ち着きつつあるが、支援が切れると再び増えそうだ。コロナ関連以外も含めた全倒産件数は今年、6年ぶりに9千件を突破する恐れがある。

 東京商工リサーチの集計(負債1千万円以上、準備中含む)によると、コロナ関連の倒産は2月2▽3月22▽4月84▽5月83▽6月103件と増え続けた。一方で、民間金融機関の無利子融資などもあり、直近は7月80、8月67件と減る傾向。9月は11日時点で33件だった。都道府県別では東京が計119件と最多で、大阪44、北海道25と続く。

 2008年のリーマン・ショック時は世界で金融危機となり、大手の倒産が相次いだ。コロナ関連の上場企業倒産はアパレル大手レナウンのみ。今回は中小の飲食業が多いのが特徴だ。

 帝国データバンクの調査によると、1~6月の飲食店倒産はコロナ以外も含めて398件あり、年間で過去最多のペース。当初は外国人観光客の減少、その後は日本人の外出自粛と客足への打撃が広がり続ける。営業時間短縮の影響などもあり、「酒場・ビアホール」などが特に厳しい。

 中小の店舗や工場は、資金繰りが行き詰まって倒産する前に事業をたたむことも多い。商工リサーチの7~8月の調査によると、回答した中小企業の約9%は感染拡大が長引けば廃業を検討する可能性があると回答。その時期は半数近くが「1年以内」。倒産以外に休廃業・解散に関する集計もあり、今年は調査開始の00年以降で初めて5万件を超える見通しだ。

 12年12月に始まった直近の景気拡大期は18年10月まで続いた。金融緩和策もあり、この間の倒産は減少か横ばいの傾向。15年以降は5年連続で8千件台だったが、今年は9千件台に増える恐れがある。倒産企業の従業員は計3万人を超え、完全失業率は7月に2・9%と徐々に悪化している。

 サービス業を中心に消費は低調で、企業業績の急回復は難しい。大手銀行関係者は「業績が上向かないと、融資判断の基準の『格付け』は下がる。秋以降は融資が難しいケースが増える」と話す。商工リサーチの担当者は、年末ごろから倒産や廃業が増えていく可能性が高いとみている。

 全国中小企業団体中央会の森洋会長は「中小企業は資金繰り支援で何とか耐えている状態で、倒産や廃業の『予備軍』は多い。取引関係のある企業が相次いで倒れる連鎖倒産の可能性もある」と警戒する。(箱谷真司)

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