共産党は6日、「党首公選制」導入を求める著書を出版した元党本部職員で党員の松竹伸幸氏を除名処分とした。「党決定に反する意見を発表しない」などとする規約に違反したことを理由に挙げている。
除名は党規約上、最も重い処分となる。松竹氏は6日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見し、「出版が処分されるなら、憲法の言論、表現の自由は死ぬ。そんなことを進める共産党だって滅びかねない」と語った。規約に基づき、党大会などで再審査を求めると主張した。
松竹氏は1月19日に出版した「シン・日本共産党宣言」(文春新書)で、全党員参加の党首選を提唱。党内議論を公にすれば、「共産党は異論を許さない『怖い』政党だという認識に変化が生まれる」と主張した。出版に合わせた記者会見でも、志位委員長が委員長職を20年以上続けていることについて、「国民の常識からかけ離れている」と言及した。
これに対し、共産党側は機関紙「しんぶん赤旗」紙上で反論した。21日付紙面で「党の内部問題は党内で解決する」「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」とした「党規約に違反する」とする藤田健編集局次長名での論説を掲載した。志位氏は23日の記者会見で「赤旗の論説に尽きる」と強調した。
共産党は、党内部の「民主的」手続きを経た決定については、全党で一致して統一行動をとる「民主集中制」を組織原則としている。小池書記局長は6日の記者会見で「党を攻撃する分派活動と見なさざるを得ない」と処分の正当性を主張した。
この動きに、他党からは批判の声が上がっている。 自民党の茂木幹事長は6日の記者会見で「我が党ではいきなり除名処分ということはあまりない」と述べた。日本維新の会の馬場代表は「民主的選考をやるべきだという意見を排除することは、共産が国会で言っている姿勢と正反対だ」と指摘。国民民主党の玉木代表は「民主主義の政党ではなく全体主義の政党と思われても致し方ない」と語った。