「公庫開業貸付」東北23%増 飲食、理美容中心 

 個人事業主などを対象にした日本政策金融公庫の「新規開業貸付」の利用が東北で伸びている。創業前か創業1年以内の事業者に対する本年度上半期(4~9月)の融資件数は700件で前年同期を23.2%上回った。東日本大震災の発生後、早い時期に解雇されるなどした元従業員が創業を決意したことなどが理由とみられ、日本公庫仙台支店は「仙台を中心に飲食店や理容・美容店の開業が目立った」と指摘している。
 仙台支店のまとめでは融資金額も34億3229万円で前年同期比14.2%増となった。全国では件数10.9%減、金額8.6%減と、ともに前年を下回っており、東北の利用増が際立つ。
 県別では宮城の利用が最も多く、件数は40.5%増の309件、金額は35.9%増の14億6613万円。ともに東北全体の40%以上を占め、「創業後間もなく被災して店舗復旧費や運転資金に利用したケースもあった」(仙台支店)という。
 宮城と同様に震災の被害が大きい岩手も融資件数が61件となり、27.1%増えた。このほか秋田が76.5%増の60件、山形が34.0%増の63件。これに対して青森は8.4%減の76件。福島は131件と東北で2番目に多い件数となったものの、前年同期比では3.7%の減少となった。
 仙台支店は「秋田、山形でも増えたのは、仙台で働いていた人がUターンしたためではないか」と分析。福島の減少理由は「原発事故の影響で開業に踏み切れないケースが多いのだろう」とみている。

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