「再編選択肢の一つ」 東北の地銀・第二地銀

 仙台銀行ときらやか銀行(山形市)が経営統合に向けた検討を始めたのを受け、東北の地方銀行、第二地銀の経営陣から「業界再編は選択肢の一つ」などと、統合や合併の必要性を認める発言が相次いでいる。ただ、足元の経営基盤強化を最優先する意向も強く、具体的な他行への働き掛けなどには慎重な姿勢を崩していない。
 秋田銀行の新谷明弘常務は11日の9月中間決算発表の際、質問に答える形で「効率経営が求められる中、経営統合は一つの選択肢」と述べた。翌日の青森銀行の発表でも、浜谷哲副頭取が「合併について考えていない金融機関はないだろう」と指摘した。
 背景には収益環境の悪化がある。東北各行の業績は金融危機の影響で落ち込んだ2009年3月期を底に、おおむね回復してきたが、主要因は不良債権処理費用の減少などだった。最近の金利低下で本業のもうけを確保することはむしろ難しくなっている。
 「利ざやは恐らく戦後最低水準」と山形銀行の長谷川吉茂頭取。岩手銀行の高橋真裕頭取も「経常収益はまだ低下すると予想される」と言う。
 荘内銀行(鶴岡市)と経営統合した北都銀行(秋田市)の斉藤永吉頭取は「貸し出し競争が激しくなる中、預金は伸びていくため、資金運用が重要になってくる。規模の小さな銀行では運用が難しく、今後も金融再編が続くだろう」と予測する。
 今後の動向では仙台、きらやか両行と同じ第二地銀の北日本(盛岡市)、福島、大東(郡山市)の3行に注目が集まる。
 北日本の佐藤安紀頭取は再編について「当面は考えていない」と慎重な構えで、福島の紺野邦武社長も「全くの白紙。頭から排除はしないが、収益力強化など足元を固めるのが先決だ」と強調する。大東の鈴木孝雄社長は「具体的な動きはないが、勉強していく必要はあると思う。現状では自前で内部留保を高めていく」と語る。
 下位行で動きだした東北の地銀再編は、各県のトップ行にも波及するのか。七十七銀行の氏家照彦頭取は収益環境の悪化や競争の激化を挙げ、「第一地銀とはいえ(再編の)大きなうねりの中に入っている。これは収まらないだろう」との見方を示す。

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