「利便性向上」歓迎の声 気仙沼BRT運行開始

 JR気仙沼線の柳津-気仙沼間(55.3キロ)で、バス高速輸送システム(BRT)による暫定運行が始まった20日、乗車した高校生からは利便性の向上を歓迎する声が多く、おおむね順調な滑り出しとなった。
 運行本数は1日上下計49本。これまでの振り替えバスより20本以上多く、朝夕は1時間2、3本、日中は1時間1本運行され、格段に便利になった。
 本吉駅から乗車した気仙沼高3年の三浦なつきさん(18)は「早朝や夜遅い便が増えたのはうれしい。受験生なので授業前の課外授業を受けられたり、遅い時間まで教室で勉強したりできる」と期待を込めた。
 専用道を走るのは陸前階上-最知間の2.1キロ。一般道と接続する出入り口付近は警備員が誘導したため、比較的スムーズだった。陸前港駅から乗った気仙沼向洋高3年の阿部晋平さん(17)は「混雑に巻き込まれることなく走れるので快適だった」と話した。
 一方で遠方から通う生徒にはあまりメリットは感じられなかったようだ。陸前戸倉駅から乗車した気仙沼高1年の阿部裕江さん(16)は「乗る時間は午前6時15分でこれまでと変わらない。所要時間の短縮効果もほとんどない」と拍子抜けの表情だった。
 専用道区間は狭く、擦れ違いできないのがBRTの弱み。初日は陸前階上駅でテープカット式が上下線で2回あり、対向の便はその度に駅手前の待機所でストップ。15分ほどの遅れが出た。売り物の一つで、運行状況を携帯電話に即時に伝えるシステムが、端末の不具合のため停止するトラブルもあった。
 気仙沼高の庄子英利校長は「電車であれば車内で本を読むこともできるが、バスなら乗り物酔いする生徒もいる。BRTで利便性が向上するのは喜ばしいが、最終的には鉄道として復旧してもらいたい」と話した。

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