海外ビジネスに実績や関心のある宮城県内の企業のうち約4割が、東京電力福島第1原発事故の風評被害の影響を感じていることが、日本貿易振興機構(ジェトロ)などによるアンケートで分かった。農林水産業や水産品製造業、食料品卸・小売業者などで特に高い割合を示している。
アンケートは昨年9月、県内の貿易関係企業名簿の作成作業に合わせて実施した。県内に事業所があり、海外ビジネスに実績や関心のある279社の回答をまとめた。
風評被害について、現在も影響があると回答した企業は20.1%。少しあるという企業と合わせると、41.6%が影響を感じている。震災直後は6割近くが影響を感じたと回答しており、震災から3年半を経た時点でも、影響はあまり薄れていないことがうかがえる。
業種別にみると、「影響がある」と答えた割合が最も高かったのは水産品製造業で43.3%を占めた。次いで農林水産・鉱業の36.4%、食料品卸・小売・ 貿易業の29.2%。風評被害の具体的な影響としては、水産品製造業で受注の減少があったと回答した企業が全体の4割近くに達し、取引停止があった企業は 全体の3分の1に上った。
風評被害の対策を取っているのは農林水産・鉱業で8割を超えた。農林産品・飲料製造業や水産品製造業、食料品卸・小 売・貿易業でも半数を超えている。具体的には、放射線測定検査を実施している企業が61.2%。ホームページなどで安全性をPRしている会社が20.4% となった。
ジェトロ仙台事務所の担当者は「震災後に国内の販路を失い、海外に活路を見いだそうとしている企業も多い。今後も支援を続けていきたい」と話した。