「反日種族主義」著者、李氏が講演「今日の韓国人の歴史的感覚は朝鮮王朝の臣民そのもの」

日韓両国でベストセラーとなっている「反日種族主義」の著者で経済学者の李栄薫(68、イ・ヨンフン)氏=ソウル大元教授=が21日、東京・千代田区の日本記者クラブで講演した。日本では今月14日に発売され、すでに25万部を超えた。著者が「韓国人の自己批判本」と呼ぶこの本は賛否両論を巻き起こしているが、韓国国内では反日教育を受けたとされる30代が多く購入しているという。

 【以下、発言要旨】

 私と同僚の研究者の5人が書き、7月に出版した「反日種族主義」は韓国現代文明に沈潜している「原始」や野蛮を批判したものです。今日の韓国はその歴史に原因が病を患っています。

 個人、自由、競争、解放という先進的な文明要素を抑圧し、駆逐しようとする集団的、閉鎖的、規制的な共同体主義が病気の原因です。一言で言えば、文明と野蛮の対決です。

 日本も1868年の明治維新以降、1930年までは国家体制の大きな危機にひんしています。1948年の韓国も建国70年あまりで大きな危機を迎えています。自由民主主義の体制は解体されるかもしれません。韓国人の危機の根源は我々の中に沈潜している野蛮な種族主義であると告発しました。

 1992年に提起されてから今まで27年間、韓日両国の信頼と協力を阻害した最も深刻な障害はいわゆる慰安婦問題です。日本の謝罪と賠償にもかかわらず、問題が増幅してきたのは「反日種族主義の強化」という傾向に応えたからです。

 この本の中で、韓国、日本の研究者と運動団体を批判しました。元慰安婦の定かでない証言に基づき、慰安婦の存在と全体像を過度に一般化する誤びゅうを犯しました。研究者、運動団体の責任は重く、彼らはまるで「歴史の裁判官」のように振る舞ってきました。 皮肉にも、強制連行説と性奴隷説は日本で作られたものです。ある歴史学者は性奴隷説を提起して、韓国の研究者や運動団体を鼓舞しました。それは歴史学の本分を超えた高度に政治化した言説でした。徴用工問題も韓国人の種族主義的な視点から提起されたものです。

 今日の韓国人は自分たちの近代文明がどこから、どのように生まれてきたかを知りません。歴史的感覚は朝鮮王朝の臣民そのものです。安倍総理と彼らの支持勢力を「極右ファシスト」と罵倒するのが、普通の韓国人の日常言語です。

 自国の恥部をあえて外国語、しかも日本語で公表する批判を予想することは難しくありません。出版に同意したのは、両国の自由市民の国際的連帯を強化するのに、役立つだろうという判断からでした。

 全国の主要書店で、この本は総合ベストセラー1位の地位を相当の期間占めました。それはまさに望外の“事件”でした。遅れながらも歴史は着実に進歩の道を歩みました。そのような期待を日本版にも懸けたいです。韓国人には自身の問題を国際的な観点から省察する好機になるでしょう。日本人には朝鮮半島問題を「親韓」、「嫌韓」という感情の水準を超えて前向きに再検討できるきっかけになれると思います。

 韓日両国は東アジアにおけて自由民主主義の防塁です。この民主主義が朝鮮半島の北側に進み、大陸まで拡散することを望みます。歴史的課題のため、互いに信頼・協力する必要があります。この本が国際的連帯を強化するのに、ほんの少しでも役に立てればこれ以上の喜びはありません。

タイトルとURLをコピーしました