岐阜県多治見市を舞台にしたテレビアニメ「やくならマグカップも(やくも)」の放映が4月に始まる。ファンがアニメの舞台を訪れる「聖地」をめざし、市はあの手この手で仕掛ける。市役所を活用した作品のPRや土産物コンテストを企画。ついには、アニメの登場人物をラッピングした「痛車(いたしゃ)」ならぬ「痛公用車」も登場した。 【写真】キャラクターを全面に描いた「痛車(いたしゃ)」ならぬ「痛公用車」の写真はこちら。。市外への出張に積極的に使うよう、呼びかけているという=2021年2月14日、岐阜県多治見市若松町のティー・エス・ジィー、戸村登撮影 「やくも」は多治見市内のIT企業「プラネット」が2012年から発刊を続けるフリーコミック。多治見に引っ越してきた高校生が陶芸に夢中になっていく様子を描く。 「世界名作劇場」や「ちびまる子ちゃん」を制作した日本アニメーション(東京)がテレビアニメ化を決定。通常のアニメと、主役の声優4人が作品の舞台を巡る実写パートの2部構成で、4月から東海3県(CBC)や東京(TOKYO MX)、大阪(MBS)、無料BS放送(BS11)で放送される。 県内には、16年に公開されたアニメ映画「君の名は。」の舞台となった飛驒市に多くのアニメファンが訪れたという前例がある。「やくも」は3大都市圏で放送されることから、多治見市産業観光課の長谷川昭治課長(51)は「千載一遇のチャンス」と期待する。 市は1月、市役所や駐車場外壁など6カ所に、アニメのタイトルや登場人物が入った「多治見へようこそ!」「やきもののまち多治見」といった横断幕を設置。「やくも」をイメージした新たな土産物をつくろうと、コンテストを企画し、全国に参加を呼びかけた。その一環で、昨年11月に購入した、市の公用車1台を「やくも」のキャラクターを紹介するラッピングカーに変えた。 PRだけでなく、実写パートのロケハンのサポートや、アニメに出てくる東濃弁のイントネーション指南も担当した。制作側とのオンライン会議にも参加し、情報を共有した。今年度の「やくも」関連の予算は1250万円。新年度も「やくも」のロケツーリズム推進事業費として1300万円を計上している。