「団塊向け雑誌サイト」が人気 昭和に浸り…退職後みつめ

 団塊の世代をターゲットにした雑誌を発行する出版社のインターネットサイトへのアクセス件数が急増している。容易に青春時代のノスタルジーに浸れる利便性や、現実的に退職後の人生をみつめ、より有効な情報を得たいという欲求を満たす手段として魅力を感じているようだ。(竹中文)
 ≪懐かしのアイドル≫
 「団塊の世代が20代後半のときに国民的なグラビアアイドルだったアグネス・ラムの写真を載せたところ、アクセス件数が爆発的に増えました」
 こう語るのは、「団塊パンチ」(飛鳥新社)編集部でブログ(日記風の簡易ホームページ)を運営する横戸茂さん。
 団塊世代の青春時代を振り返りつつ、熟年世代の新しいライフスタイルを提案しようと昨年4月に創刊した季刊誌「団塊パンチ」。ブログは創刊から約2カ月がたった昨年6月に開設したが、スタート時はアクセス数が伸び悩んだ。ところが、今年1月発売の4号で表紙を飾ったアグネス・ラムの写真をブログに掲載したところ、アクセス数が急増したという。
 「団塊世代をひきつけるのは、青春時代を思いだせる懐かしい昭和時代の写真や特集」と横戸さん。アクセス数を伸ばす極意をつかみ、現在は多いときで、開設時の8倍にものぼるという。
 ≪自ら発信≫
 団塊世代向けのフリーペーパー「5L(ファイブエル)」。ここのホームページ(HP)の訪問件数も今年2月、1カ月のアクセス数が約1万4150件に達した。昨年5月の開設時の約4倍にあたるという。
 発行するライフエンタテインメント社の野口博光さんは、「退職が目前に迫った団塊世代が、(退職がより現実味を帯びたことで、より有効な情報を得ようと)アクセスするようになってきたのが一因ではないか」と分析する。今後は、更新回数を増やし、雑誌に掲載していない内容も盛り込むなどしてHPを強化していく方針という。
 主に団塊世代に向け、地域で活躍する人々のネットワーク活動を紹介するフリーマガジン「B&G Network(ボーイズアンドガールズ ネットワーク)」は来月創刊するのに先立ち、昨年12月にホームページを立ち上げた。このサイト上で、取材に協力するグループと通信員を募集したところ、グループには200件近くが登録、通信員にも百数十人の応募が寄せられたという。
 運営する永島貴弘さんは「常に変革を志向してきたと自信をもって語れる世代なので、自分たちが発見したことを発信して世の中をリードしたいという気持ちが強く、ネット募集に対しても敏感に反応するようだ」と指摘。今月下旬には、グループのデータベース検索機能などを盛り込んだ新しいサイトとしてリニューアルし、団塊世代のニーズに応えている。
 ≪仲間づくりに≫
 団塊の世代は戦後ライフスタイルのフロントランナーとして常に新しいファッションや音楽を吸収してきた。
 「好奇心が旺盛なので、パソコンやインターネットも受け入れやすいのではないか」と指摘するのは博報堂生活総合研究所の林光・主席研究員。
 「博報堂エルダービジネス推進室」が昨年、団塊世代約460人を対象に実施した「60歳以降の楽しみ」に関するアンケートでも、「インターネットの閲覧」を挙げた男性は約半数に達し、「国内の温泉旅行」に次いで2番目に多かった。また女性も約39%にのぼっている。
 林さんは「(戦後の)昭和を作ってきたのは自分たちだという自負があるので、昭和という時代を反映したサイトには親近感がわきやすいようだ」と、団塊が好む傾向を指摘。参加型サイトについては「新聞投稿やラジオのリクエストなどを体験してきた世代なので参加に対する抵抗感がない」とした。
 そして、「今後は(退職後の)ネットワーク作りに役立つサイトが人気を集めていくのではないか」と予測している。
                   ◇
 ◇団塊パンチのブログ
 http://blogs.yahoo.co.jp/dankai_punch
 ◇5Lのホームページ
 http://www.5-life.net/
 ◇B&G Networkのホームページ
 http://www.boys-girls.jp/

コメント

タイトルとURLをコピーしました