「困り顔」がブーム!? 「薄幸顔」と違うの?

『週刊SPA!』(9/14日号)によると、「困り顔」がブームという。
確かに、女子中高生のカリスマと言われる加藤ミリヤのCDジャケットやPVはみんな「困り顔」。AKB48にも「困り顔」が多いし、perfumeは歌うときだけわざと「困り顔」をしているように見える。
さらに、女の子向けのストリート雑誌で「困り顔メイク」の特集をしていたり、mixiにも困り顔好きのコミュがあったりするというから、いよいよ驚く(詳細は『SPA!』で)。
女の子の「困った顔」に対する男性の「守ってあげたい」という感情、逆に「イジめたい」というS心は根源的にあるものだと思うのだが、それを女性側がメイクや表情で作為的にやり始めたというのは興味深いところ。
あるヘアメイクさんは、「女性が困り顔メイクをするのは『ニコニコ→ダサい』という思いから、アンチ・媚びの自己主張もあると思う」と言うけれど……。
ところで、こうした「困り顔」は、マンガやアニメでもよく登場しているけど、先入観で連想するのは「はかなく、かよわく、薄幸なイメージ」。困り顔で薄幸そうだと、守ってあげたくなるということ? 
だが、その推論について、あるマンガ編集者は異論を唱える。
「『困り顔』も『薄幸顔』もマンガ・アニメの定番ですが、『困り顔』は、実は全然困ってませんよね。たとえば、永遠の男性の憧れ、『銀河鉄道999』のメーテル。長いまつ毛の憂い顔で、いつも困った顔をしていてはかなげに見えますが、その実、ものすごく強い女性で、少年の大人への旅立ちを助ける役割です」
一方、「薄幸キャラ」は、困り顔どころか、いつでも笑顔だと前述の編集者は指摘する。
「薄幸な人は、いつも笑っている人です。マンガ・アニメでは、眩しい笑顔が出た時点で『死亡フラグが立った』と言われるくらいです。たとえば、『機動戦士ガンダム』のマチルダさんは、笑顔ですよね? マンガやドラマの中で死んでしまった母親を思い出す場面なども、常に笑ってますし、『ヒマワリのような人だった』と言われることが多いです。薄幸キャラの人は、辛いところを見せず、笑っている人。困った顔を見せない人。でも、その笑顔が永遠に続かない、いつか終わってしまうことがわかっているからこそ、笑顔が眩しいんだと思います」
確かに、薄幸キャラは、苦しくとも、辛くとも、「困り顔」を他人の前では見せず、笑っている気がする。
逆に、二次元の世界だけでなく、女子アナ・タレント、女優など、「困り顔」で人気の女性には「はかなく見えて、実は気が強そうでしたたかそうな女性」が多い気もする。
そういえば、困り顔好きなある男性は、「大事なのは、あくまで『かよわく見える』ということ。本当にかよわい女、辛そうな女はめんどうくさい」と言っていたけど……。
「はかなそうで『守ってあげたい』と思わせてくれて、実は自分を守ってくれる強さを持っている」ということが、男性にとっては究極の理想なのかも? 
(田幸和歌子)

タイトルとURLをコピーしました