宮城県塩釜市の無形民俗文化財に指定されている「塩釜神楽」が11月1日、伊勢神宮(三重県伊勢市)で初めて奉納される。ことし同神宮で行われた式年遷宮を祝って全国の140団体が参加し、県内からは唯一の奉納となる。塩釜神楽保存会では「震災復興を祈念しながら精いっぱい舞いたい」と話す。
式年遷宮での奉納は、宮城県神社庁が伊勢神宮に参加団体として推薦し、決まった。演目は塩釜神楽独自の「親子獅子舞」と「恵比寿大黒舞」「弓取舞」。高校生から70代までの市民36人で構成する保存会会員のうち、主要メンバー10人が舞台に立ち、力強い舞と大太鼓、つづみ太鼓、神楽笛、鉦(かね)などの演奏を披露する。
塩釜神楽は、14世紀の文献記録に残っている伝統芸能で、現在の型は大正後期に確立。1932年に保存会が結成され、塩釜神社の例大祭などで奉納している。出雲流神楽の「十二座神楽」と伊勢神宮の「太神楽」の両方の演目を伝承する県内唯一の民俗芸能として評価され、2010年に塩釜市の文化財に登録された。
市公民館で10月22日夜にあった本番前最後の練習で、メンバーは衣装こそ着けなかったが、剣などの小道具の使い方などを確認しながら真剣に「親子獅子」などを舞った。
保存会会長の鈴木朝博さん(59)は「伊勢神宮で舞うのは名誉なことで、今後も神楽を伝承していく励みとしたい」と話す。