「増加の兆し見られる地域も」 新型コロナ、厚労省専門家組織が分析

 新型コロナウイルス対策を厚生労働省に助言する専門家組織(アドバイザリーボード)は23日、新規感染者数の減少が全国的に鈍化していると分析した。大型連休明けの5月中旬から全国的に減少傾向が続いていたが、直近1週間の新規感染数は首都圏や九州など20都府県で前週より増加した。 【画像】学校のマスク効果23% 専門家提言「過剰な対策強いるべきでない」  国内の直近1週間の新規感染者は22日時点で、前週の0・98倍と下げ止まりの傾向が強まった。専門家組織は、大都市で短期的に急激な増加は見込まれていないものの、ワクチン接種と感染による免疫が徐々に低下していくことやオミクロン株が新たな系統に置き換わる可能性があることから、「今後は感染者数の増加も懸念される」との見方を示した。  都道府県別では、島根県で前週比2・85倍と感染者が急増した。前週比が1・1倍を超えたのは、島根県の2・85倍、鳥取県の1・34倍、青森県と福島県の1・16倍のほか、富山県、熊本県、神奈川県。東京都は1・09倍だった。46都道府県で前週比が減少した2週間前の会合時点から一転して、増加傾向を示す都道府県が増えた。  専門家組織座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は、一部都府県の感染増加について、免疫の低下や行動の活発化による接触機会の増加が影響していることを主な要因にあげた。  一方で、オミクロン株の「BA.5」系統が国内で「ある程度検出されている」と指摘。海外の感染状況から、重症度の上昇はみられないものの、置き換わりが進むことによって感染者数や入院者数を押し上げる可能性に警戒感を示した。  さらに脇田座長は、「いまだ感染レベルは高い状況が続き、一部の地域で横ばい、増加の兆しが見られる地域がある」として、ワクチン接種や感染防止策の継続を求めた。(林義則)

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