「夜の街」「若者」の感染じわじわ 新型コロナ、宮城の2カ所でクラスター

 宮城県内で飲食店の利用客らの新型コロナウイルス感染が急増している。9月に入り、バーや接待を伴う店など6カ所で計27人の感染が確認され、仙台、多賀城両市の2カ所ではクラスター(感染者集団)が発生した。感染者のうち10~30代が7割を超える。東京都内は「夜の街」「若者」から市中感染が広がった経緯があり、県や仙台市は危機感を募らせている。
 県内の飲食店の感染状況は図の通り。
 仙台市のバーAは最多10人が感染した。8月26~29日に1人で店を切り盛りした30代男性従業員のほか、同期間に来店した20~40代の男女9人が陽性と判明。このうち26日に訪れた20代女性が、最も早く同日中に発熱などの症状が現れた。
 バーAは従業員と利用客が対面する形の小規模な店舗。接待は伴わないが、飛沫(ひまつ)防止のアクリル板などはなく、従業員もマスクを着用せず接客。会話が盛り上がり、十分な距離を取れない時間帯があったという。
 多賀城市の酒類提供の飲食店では、同市の貞山高に通う10代男子生徒ら未成年者2人を含む10、20代の男女6人が感染した。県は来店日時を公表しないが、男子生徒ら18人のグループは2時間以上、マスクを着けず飲食した。未成年者の飲酒の有無は分からない。
 このほか、仙台市のバーBは20、30代の男性アルバイト3人が感染。同市の接待を伴う飲食店では、20代と30代の女性2人の陽性が判明した。塩釜市の接待を伴う飲食店でも男女3人が感染。30代女性と40代女性が従業員、70代無職男性が利用客だった。
 仙台市は8日、30代男性が経営する市内の酒類提供の飲食店で、従業員の20代男性アルバイト、利用客の20代男性会社員が感染したと発表した。従業員はマスクを着けず利用客の隣で酒をついだり、話し込んだりすることがあったという。
 東京都内では7月、「夜の街」関連で100人超の感染者が発生した日も。宮城県内でも8月31日以降のわずか1週間で、飲食店関係者の感染が急拡大した。
 仙台市保健所の下川寛子所長は「飲食店側は業界のガイドラインに沿った感染防止策を徹底し、利用する側は自分の体調管理とともに、訪れる店の対策を確認してほしい」と訴える。

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