「大学の宝」パイプオルガン2台移設へ 東北学院大キャンパス集約で 同窓生らに寄付募る

東北学院大は進行中の集約計画に伴い、多賀城キャンパス(宮城県多賀城市)のパイプオルガンを泉キャンパス(仙台市泉区)に、現在泉にあるパイプオルガンを新設の五橋キャンパス(若林区)にそれぞれ移設する。2台合わせて6011本のパイプと演奏台などが引っ越す大事業。大学は1億円を目標に同窓生らから寄付を募り、貴重な楽器を末永く活用していく方針だ。

 同大は2023年度、多賀城と泉の教育研究施設を、新設する五橋キャンパス(若林区)に集約する。現在、土樋キャンパス(青葉区)を含め3台のオルガンがあり、キリスト教を建学の柱とする大学にとって精神的な支柱となっている。

 泉の礼拝堂から五橋に移設するのはアルフレッド・ケルン社(フランス)が製作した左右対称のオルガン。創立者・押川方義にちなみ建設中の「押川記念ホール」の中央に配置する。

 同大教養学部教授で大学オルガニストの今井奈緒子さんは、「1989年に名工ダニエル・ケルンが日本で初めて製作した物。豊潤で明るい音色が特徴でバロックから現代作品まで理想的に演奏できる」と説明する。

学生や市民にも開放

 泉キャンパスは大学の教育施設以外にも運動施設などが立地しており、付属の榴ケ岡高も隣接する。現在の礼拝堂には代わりに、多賀城キャンパスからシュッケ社(ドイツ)製オルガンを移す。

 2004年製で「危なげのない、頑丈な音。バロックよりも、ロマン派など18、19世紀以降の音楽に向いている」(今井さん)という。設置後の礼拝堂は、より学生や市民に開放された音楽演奏・鑑賞の場として使っていく。

 どちらのオルガンも、これまでミシェル・シャピュイ氏(フランス)をはじめとする国内外の著名な演奏家が数多く演奏してきた。今井さんは「二つのオルガンに敬意を払い、これからも大学の宝として演奏していきたい」と語る。

 ケルン社製オルガンの解体・移設作業は22年9月にも始まり、23年4月の利用再開を目指す。シュッケ社製の移設時期は未定。

 3万円以上の寄付者には特典として、新ホールの記念コンサートに招待するほか、銘板に氏名を刻む。

 連絡先は東北学院財務部財務課022(264)6467。

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