「姥捨て」題材コラージュに麻生氏の顔写真 国連公認誌

国連公認の月刊誌「UNスペシャル」10月号に、老人を山に捨てる「うば捨て」を題材にしたコラージュが掲載された際、麻生太郎副総理兼財務相の顔写真が用いられていた。在ジュネーブ日本政府代表部が「我が国の要人に関して不適切だ」と申し入れ、編集部はPDF版の写真を差し替えた。

この雑誌は英語と仏語で記され、編集部はスイス・ジュネーブの国連欧州本部にある。「ジュネーブにおける国連と世界保健機関(WHO)の国際公務員の公式雑誌」とされ、公称1万500部。国連関係者や各国政府代表部などに配布されるほか、ネット上にPDF版を掲載している。

国連公認月刊誌「UNスペシャル」の10月号に掲載された「オバステ」と題された記事。「麻生太郎 姥(うば)捨て」と日本語で記されたコラージュが添えられていた © 朝日新聞 国連公認月刊誌「UNスペシャル」の10月号に掲載された「オバステ」と題された記事…

問題のコラージュは、カザフスタン出身の国連職員が執筆した「オバステ」という英文記事に添えられていた。記事は長年勤めた元職員の待遇について触れ、1958年の木下恵介監督の映画「楢山節考」で描かれたうば捨てのようにならないように、と警鐘を鳴らしたものだった。

コラージュには日本語で「麻生太郎 姥(うば)捨て」と記されていた。ネット上の素材を転載したものとみられ、作者や意図、作成時期は確認されていない。

編集部関係者は、日本語のわからない外注のデザイン担当者が無作為に採用したもので、意味も知らなかったと説明。麻生氏が日本の元首相ということも認識していなかったという。日本政府代表部の申し入れを受けた後、PDF版について、コラージュを1983年の「楢山節考」(今村昌平監督、緒形拳主演)の画像に差し替えた。(ジュネーブ=松尾一郎)

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