アナウンサーとして人気が出るとフリーに──そんな“転身コース”が確立された女子アナ界。彼女たちの明暗は、いかに視聴者に愛されるかで分かれてくる。
本誌・週刊ポストの読者アンケート調査(994人が回答)では、そこに「異変」が見えてきた。「好きな女子アナ」の女王に輝いたのは、人気ナンバー1の水卜麻美アナ(32・日本テレビ)だ。
「やれパワハラだ、セクハラだと殺伐とする世の中で『会社大好き』を公言し、24時間テレビでも必死にマラソンしている姿に癒されました」(50代・男性)
など老若男女からの絶大な支持を受ける。オリコンの「好きな女性アナウンサーランキング」でも2017年に5連覇を達成した人気は盤石だ。さらに、同ランキングで殿堂入りした水卜アナに代わって2018年に首位となった元NHKの有働由美子アナ(50)は、本誌の調査でも3位に君臨している。
ところが、「異変」が起きたのは「嫌いな女子アナ」ランキングだった。
堂々の1位は「ぶりっ子キャラ」で圧倒的な知名度を誇り、2014年にTBSを退社した田中みな実アナ(32)だ。フリーになってからはそのキャラを活かし、「悪女」役で女優としても活躍の場を広めている。
注目すべきは2位以下だ。これまで抜群の好感度を誇り、「好きな女子アナ」常連の有働アナが2位に。同じように、フジテレビ時代には絶対的エースだったカトパンこと加藤綾子アナ(34)が4位、そしてテレビ朝日の『報道ステーション』で報道系アナとして存在感を放っていた小川彩佳アナ(34)が6位と上位にランクインしたのだ。
3人に共通するのは、局アナとして全盛期に「フリー転身」を果たしたということだ。そのため、「好きな女子アナ」でも上位にランクインしている。
元NHKの有働アナは日テレ系の『news zero』、元フジのカトパンは古巣の『Live News it!』、元テレ朝の小川アナはTBS『news23』で、それぞれメインキャスターを務めている。芸能評論家の三杉武氏は「嫌いにランクインするのも人気のバロメーター」としながら、こう指摘する。
「フリーになると露出する機会が増え、局アナ時代とは違う立ち振る舞いが求められます。そこでキャスターやタレント的な立ち位置に変わることでアンチが増えてしまうこともあるのです。当初は“民放でどこまでやれるか”と様子見された有働さんは彼女らしさを出すようになりましたが、その分目新しさが消えてしまった。加藤さんと小川さんは新天地がまだ不慣れで自分の色を出し切れておらず、視聴者の不満が高まりやすい」
元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義氏は「クラブのママ」に例えて語る。
「3人ともフリー転身後に帯番組を持ちましたが、大金を積まれたクラブのママが常連客を連れて店を移ったようなイメージです。元々のファンは“新しい店”を応援しますが、中には成功した転職者をやっかむ人もいる。退社さえなければ、3人とも“嫌いな女子アナ”にランクインすることはなかったように思います」