「宇宙庁」29年度設置 NSCで宇宙戦略策定要請 自民小委の提言案

 自民党の宇宙総合戦略小委員会(今津寛小委員長)がまとめた政府の宇宙戦略に対する提言案の全容が5日、分かった。宇宙における安全保障の基本的な考え方を示す「国家安全保障宇宙戦略」を国家安全保障会議(NSC)で策定するよう要請するほか、平成29年度をめどに宇宙政策を一元化した「宇宙庁」の設置を求める。自民党は提言を正式決定した上で、月内に政府に提出する方針だ。
 「国家戦略の遂行に向けた宇宙総合戦略」と題した提言案では、内閣府に設置されている宇宙開発戦略本部の機能を強化した宇宙庁を内閣府の外局として設置し、宇宙関係予算を一括計上するよう求める。
 宇宙事業を推進する手段として「国家安全保障宇宙戦略」のほか、2030~50年を見据えた「長期的宇宙インフラ整備計画」を策定するよう提案する。
 また、現行の宇宙基本法が定めている関連法制の整備が進んでいないため、宇宙活動の規制に関する「宇宙活動法」や、資源調査などを目的としたリモートセンシング(遠隔探査)衛星のデータの取り扱いを定める新法の早期制定の必要性も指摘している。
 宇宙政策をめぐっては、平成20年8月に宇宙基本法が施行され、自衛権の範囲内での宇宙の軍事利用に道を開いた。ただ、国内の宇宙開発は停滞しており、30年度以降の衛星打ち上げ計画は決まっていない。日本を取り巻く安全保障環境の変化から、安全保障分野での宇宙の活用の必要性が指摘されている。
 このため、提言案では、年末までに再改定する予定の日米防衛協力の指針(ガイドライン)に関し、宇宙政策を明確に位置づけるよう要請。宇宙ごみなどの宇宙状況監視(SSA)に関する統合監視・解析センターの設置などによる日米同盟の強化を求める。

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