「定額制」でバイク体験 ヤマハ発が実証実験

ヤマハ発動機は、毎月定額の料金を支払えば気軽に中古二輪車に乗れる「サブスクリプション(定額制)」サービスの実証実験を始めた。来年5月まで埼玉県内でサービスを検証し、需要があれば対象地域の拡大を検討する。二輪車の所有にこだわらない消費者を開拓し、国内二輪車市場の活性化につなげる考えだ。

 サービス名は「月極(つきぎめ)ライダー」で、今月から約1年にわたり提供。事業として成立するか検証する。

 利用は専用サイトで申し込む。乗りたい車両は埼玉県内で中古二輪車を販売するはとや(川口市)の商品の中から選び、他社の製品も借りられる。軽二輪(排気量126〜250cc)以上は同県の住民票を持っていることが条件となる。

 月額の利用料金は、車両代や税金など購入時にかかる支払総額の5%。250ccの平成28年式バイクの総額が45万円だった場合、月極ライダーなら2万2500円で借りられる。

 月額料金には、任意保険料やメンテナンス費などが含まれるほか、頭金も不要なため、まとまった出費を気にせずバイク生活を楽しめる。最短の利用期間は30日。それを過ぎれば自由に返却でき、最長6カ月まで借りられる。気に入れば買うことも可能だ。

 ヤマハ発はこうした気軽さを武器に、免許を持ちながらも経済的な理由から保有を断念する若年層についても発掘したい考えだ。

 日本自動車工業会によると、二輪車の国内販売台数は昭和57年に約327万台とピークに達し、その後は排気量50cc以下のミニバイクを中心に減少。昨年は前年比3・8%減の36万9114台だった。このためヤマハ発は二輪車を造って売るビジネスに頼りすぎれば、じり貧になるとの危機感を強め、「二輪車への壁をより低くし若者の利用を促す」(新ビジネス推進部)ことにした。

 「所有から利用」という消費者意識の変化が自動車業界に波及する中、トヨタ自動車が東京都内の販売店で2月に新車の定額制サービスを開始。二輪車業界にも広がる可能性がある。(臼井慎太郎)

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