緊急事態宣言を全面解除せず一定の規制を続けることによって、東京都の新型コロナウイルス感染者数が、東京五輪開催の影響をほぼ受けずに済むとする推計結果を、筑波大の倉橋節也教授(人工知能)がまとめた。
試算では、五輪期間中、国内外からの関係者や観客などによって1日34万人の人の流れが新たに生じると想定。ワクチン接種率は1日あたり人口の0・8%ずつ増え、英国型(アルファ型)の変異ウイルスが流行している場合の感染者数を、人工知能(AI)などを使って推計した。
その結果、緊急事態宣言が20日の期限で全面解除され、五輪を開催した場合、新規感染者数は8月上旬に1日最大1659人となり、五輪を中止か延期した場合の同1566人よりも約6%増加した。
一方、飲食店に午後8時までの時短営業要請などを行った今年1月の緊急事態宣言並みの規制を続けた場合、五輪開催、中止のいずれでも新規感染者数のピークは792人で、五輪による影響はみられなかったという。都内では今年5月上旬、約1100人の感染者が報告されている。
ただ、感染力が英国型より強いとされるインド型(デルタ型)が 蔓延 すると、宣言の全面解除によって新規感染者数は、9月に5500人超と爆発的に増加するという。
倉橋教授は「五輪期間中もしっかりした対策をとることで、五輪による影響を最小限にできる」と話している。