「宮城の失業率」なぜ高い? 77R&Cが分析、労働現場の質の早期改善を訴える

 七十七リサーチ&コンサルティング(77R&C、仙台市)は、宮城県の失業率が全国平均を上回る水準が続いている要因をまとめた。10年おきの失業率の地域差と相関関係のあるデータを抽出して分析。就業者の割合が製造業で低く卸小売業で高い産業構造に加え、所得の低さなどの要素が失業率を押し上げていることが分かった。

低い製造業就業比率が要因か 所得の低さも押し上げ

 国勢調査に基づく失業率の推移はグラフの通り。2000年ごろから上昇し、10~20年にかけて変動はあるものの、高い割合のグループに固定化が見られる。

 製造業は転職率や離職率が低く、就業者比率の高い地域ほど失業率が低い傾向にある。宮城は製造業の割合が低いのに対し、転職・離職率が高い傾向のある卸小売業と宿泊・飲食業の就業者割合が高い。不況時に雇用の受け皿機能を持つ公共投資への依存度の低さや、県民所得の低さも失業率を高める要因と推測した。

 宮城の就業者に占める卸小売業の割合は2010年に全都道府県で1位を記録。20年も2位だった。一方で製造業は1990年以降、30位台後半が続く。水産加工を中心とする食料品や、部品加工を主体とした電子部品に就業が偏っている状況も、低賃金と相まって雇用の維持力を押し下げているとみられる。

 分析を担当した77R&Cの大川口信一研究顧問は、改善策として「自動車や半導体製造装置といった高い付加価値を生み出せる産業分野により厚みをもたせることが重要」と指摘する。

 失業率の押し上げ要因となっている卸小売業や食品などの製造業についても「外部資金を獲得する重要な基盤産業」と前置きした上で「構造的に人手不足と失業が繰り返される産業であり、労働力の十分な活用や失業リスクの低減策が求められる」と、労働現場の質の早期改善を訴える。

 調査は100以上の経済社会指標と、失業率の地域間格差との影響度合いを計量分析の手法で実施。産業別の就業者数比率や県民所得など、一定水準の相関関係が認められた九つの指標を抽出して分析した。

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