宮城県は日本酒の輸出拡大に向け、県内の酒蔵と物流会社が連携したプロジェクト「ミヤギスタイルズ」を新たに展開する。味と香りで独自に5分類した統一ラベルでブランド化を図るとともに、海外に倉庫を共同で確保して物流の機動性を高める。「宮城の日本酒」がタッグを組み、ドイツを皮切りに欧州での市場開拓を狙う。
県と酒蔵、物流会社がプロジェクト
酒蔵は8社が参加。純米吟醸を中心にそれぞれ1商品を選び、爽やかな香りと熟した香りにグループ分けした上で、味の濃淡や柔らかさで「No.1」から「No.5」までに区分した(表)。
それぞれにオリジナルのラベルを付け、合う料理も設定して商談で売り込みやすいようにした。男山本店(気仙沼市)の「蒼天伝」などが該当する「No.2」の場合、「甘さはやや控えめ。ローストチキンや焼き魚に合わせると穏やかなうま味が寄り添い、日本酒の味わいもソフトに感じられる」などと紹介する。
センコン物流(名取市)が輸出を担い、現地でのプロモーションやサンプル提供が迅速にできるよう、連携するバイヤーの倉庫を活用する。第1弾として来年1月、ドイツの通販バイヤーに720ミリリットル瓶384本を輸出し、翌2月に現地で発表会を開く。
日本酒の輸出量は和食ブームなどで年々伸びているものの、宮城の酒の認知度はまだ低い。小さな蔵単独では在庫を抱えるリスクがあり、まとまった量の輸出は難しい。
男山本店の菅原大樹専務(30)は「海外で個々の蔵が酒の特徴を説明するには限界がある。宮城でまとまり、分かりやすく伝えるのは入り口としていい試みだ」と期待する。
仙台市内で17日、プロジェクトの発表会があり、スイス出身で東北大のロート・アントワン助教(34)と「みやぎライシーレディ」の2人が酒と料理の相性を確かめた。3人は「チーズの濃さとお酒の甘みがとても合う」「香ばしいチキンを食べて飲むとお酒が軽く感じられた」などと感想を述べた。
県国際ビジネス推進室の星和行室長は「海外需要を掘り起こす契機にしたい」と力を込め、分類に関わった県食産業振興課の橋本建哉技術副参事は「宮城の日本酒の幅広いバリエーションを知ってもらえたらうれしい」と話した。