東北への医学部新設に向けて宮城県の村井嘉浩知事は28日、財団法人厚生会仙台厚生病院(仙台市青葉区)、栗原市と連携を図り、県立での医学部設置構想を国に申請する方向で最終調整に入った。東北福祉大(仙台市青葉区)の連携解消で暗礁に乗り上げかけた医学部栗原キャンパス構想の実現には、財政出動を伴う県の積極関与が不可欠と判断したとみられる。
仙台厚生病院は福祉大との連携で医学部設置に名乗りを上げた。しかし財政面などで折り合いがつかず、25日の協議で破談。27日に急きょ、仙台厚生病院の目黒泰一郎理事長と栗原市の佐藤勇市長が村井知事に構想の引き受けを要請した。
関係者によると、村井知事は当初段階で県立医学部の是非の検討を関係部局に指示した経緯がある。当時の試算を土台に、構想に参画した場合の課題などについて庁内で詰めの検討を進めている。
開学に必要な投資は約500億円から約300億円に圧縮が可能で、仙台厚生病院や栗原市の財政支援に加え起債も活用して捻出する。年間数十億円とされる運営資金が課題だが、交付金による支援を国に働き掛ける。
村井知事はかねて宮城県北の医師不足に危機感を覚えており、栗原市への医学部設置により仙台への一極集中を避け、東北一円への医師供給につなげたい考えだ。
村井知事は27日、報道各社の取材に「早急に検討し、30日の申請期限ぎりぎりまで考えたい」と答えていた。近く、正式に公表するとみられる。
文部科学省が受け付ける東北への医学部新設構想は、東北薬科大(仙台市青葉区)、一般財団法人脳神経疾患研究所(福島県郡山市)も申請する見通し。