「対話のある自動販売機店」ではあまり対話がない

以前の記事で、東京・秋葉原(以下:アキバ)には、喫煙スペースが少ないことをお伝えした。駅の周辺には場所が設けられておらず、喫煙席のある飲食店に入ると人も多いはずだ。週末ともなると数少ない喫煙所には大勢の人が足を運び、肩をすり合わせるようにしてタバコを吸っているのである。
公共の灰皿であれば、気兼ねなく利用することができるのだが、タバコ屋さんが開放してくれるような場所であれば、ただで利用するのも忍びない、そう感じるのが喫煙者のマナーではないだろうか。せめてジュースの1本でも購入して、心のなかで「ありがとう」と言いたいものだ。
そんなルールを徹底して実行しているお店がある。そのお店は「対話のある自動販売機店 木倉食品」である。ここは飲み物の購入が必須の場所だ。
JR秋葉原駅、電気街口を出て中央通りを渡った向こう側に、このお店がある。お店とはいうものの、自動販売機が5台と灰皿が1つ置いてあるスペースだ。しかし喫煙所という訳ではない。「対話のある自動販売機店」とうたわれているので、やはりお店ということになるだろうか……。
ここで落ち着いて喫煙するのには、ジュースやコーヒー、お茶の購入が必須。以下がお店に掲げられている「お願い」だ。
 
・ 「対話のある自動販売機店 木倉食品」からのお願い
お客様へお願いします。
他店の飲物の持ち込み、
店内でのお食事は、ご遠慮下さい。
当店は自販機による喫茶店です。
飲物をよろしく。
 
記者(私)は最近、ここを利用させてもらったのだが、喫茶店とは知らなかった。たしかにタバコを喫する場所であり、お茶を喫することもできる。改めて考えると喫茶店な訳である。
しかしひとつ気になったことがある。それは「対話のある自動販売機店」のはずなのに、誰もしゃべろうとしない。いや、客同士の対話を求めるのではなく、店主のおじさんに話かけてみるべきなのだろうか……。とにかく誰もが黙ってタバコを吸い、1つの灰皿に向かって灰を落としているのである。
初心者の記者は、どう対話に持っていくべきか随分悩んだ。そしてこの日はついに対話をしないまま、店を出てしまったのである。未熟者であったがために、何も切り出せなかったのか。それとも雰囲気を察して、黙っておくべきときは黙っておくべきか。「こんにちは」くらいは言えたはず、などなど。帰りの電車でかなり深く考え込んだ。結局答えは出なかったのだが……。
次回は対話を求めて、このお店に行ってみたいと思っている。なお、利用される方は是非とも飲み物を購入して頂きたい。また、吸いすぎには十分に注意しよう。

タイトルとURLをコピーしました