「小さな胸は障害である」ロシアの公的機関がガチ認定! 大炎上するも、日本も五十歩百歩の現状がヤバい!

ロシアの公的機関が小さな胸は「身体的欠陥」だと指摘。方々から怒りの声が挙がっている。

英紙「Daily Mail」(8月28日付)によると、問題の発端となったのは、ロシアの建設会社「Akvilon Invest」社の広告。レースの下着を着た女性が、困惑の表情を浮かべながら胸をメジャーで測っているものだ。

■貧乳は身体的欠陥!?

一見何を意味しているのか分かりづらいが、「胸の小さな女性は多くの肉体的コンプレックスを持つ(a lot of complexes)」という偏見を「少ない予算で多くの複合施設」(small prices and lots of complexes)という宣伝にかけたもののようだ。この性差別的表現を活動家が批難し、ロシア反独占局も同意。「女性に対する侮辱的なイメージ」が広告法に抵触しているとして同社に罰金を命じた。ここまでは良かったのだが、“余計な一言”が加わってしまう。

【その他の画像はコチラ→https://tocana.jp/2018/08/post_17984_entry.html】

ロシア反独占局が下した判決に、「識者会議は、同広告が“女性の肉体的欠陥”(貧乳)を指摘していることを認めた」と書かれていたのだ。小さな胸を身体的欠陥だとする唐突な差別に多くのロシア人が驚き、怒りの声を挙げた。ブロガーで反性差別活動家のアナスタシア・クラシルコワ氏は怒りを通り越して呆れた様子で次のようにコメントしている。

「ロシア反独占局のスタッフがこれについて何も間違っていないし、侮蔑的でもないと考えていても私は驚きません。おそらく、これを書いた人物は、小さな胸が身体障害だと完全に何の疑いもなく思っているのでしょう」

実は「Akvilon Invest」が差別的な広告を出したのはこれが初めてではないという。ロシアメディア「Meduza」(8月28日付)によると、以前にも、上着を脱いだ女性を広告に起用し、「売春」のイメージを想起させるとして批難されていたそうだ。クラシルコワ氏は、このような性差別的な広告はロシアで毎日見つけることができ、性差別は「ロシア文化の一部」だと語っている。

■日本で見られる性差別広告

しかし、性差別的広告はもちろんロシアだけの問題ではない。日本の例を紹介しよう。

2016年に鹿児島県志布志市がふるさと納税のPR用に作成した動画が性差別的だとされ、英高級紙「The Guardian」(2016年9月27日付)でも報じられた。動画ではウナギを擬人化したスクール水着を着た女性が登場し、「養って」と男性に語りかける。多くの性差別的表現が散見される動画だが、ここでは中心的な問題を指摘しておこう。

まず擬人化されたうなぎが女性である必然性はない。事実、養殖うなぎのほとんどはオスだと言われている。では、なぜ女性にしたのか? それは彼女に「養って」と発言させるためだったのだろう。女性は男性に養われるべき存在だという性差別意識がここにはっきりと表れている。

上記の例はあまりにも明白に性差別意識を感知することができるが、より微妙な形で滲み出しているパターンも多い。日本経済新聞6月26日朝刊に掲載されたNewsPicksの広告もその1つだ。同広告には「さよなら、おっさん。」というキャッチコピーが書かれ、その下にはここで言われている“おっさん”が長々と定義付けられている。それによると、“おっさん”とは「誰か個人の話ではなく、年齢とか性別の話でもなく、それはつまり、この国の、凝り固まった価値観やルール」だという。

これの問題は「凝り固まった価値観やルール」を持つ存在が、おっさんである必要がない点だ。「誰か個人の話ではなく、年齢とか性別の話でもない」と特定の対象への差別ではないと断りつつ、「おっさん」という中高年の男性を指す差別語を遣ってしまっていることにどんな正当な理由を付けることができるだろうか? このような言語使用は、ユダヤ人に対し「強欲、ケチ、ずる賢い、傲慢」といったイメージを押し付けたのと本質的に変わらない。

このように性差別は陰に陽に蔓延している。では、どうしたらこれを避けることができるのだろうか? それは容易なことではない。クラシルコワ氏が「ロシア反独占局のスタッフは、小さな胸が身体障害だと完全に何の疑いもなく思っているのでしょう」と語っているように、差別は無意識に行われる場合が多々あるからだ。しかし、だからといって差別を野放しにしていいわけではない。少なくとも、差別を意識する努力や自己監視は可能な限り怠らないでおきたい。
(編集部)

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