「山・鉾・屋台」無形遺産 東北振興の弾みに

青森、秋田、山形3県の5件を含む18府県33件の祭りで構成する「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることがほぼ確実になった。3県の祭り関係者からは「観光振興の弾みになる」などと喜びの声が上がった。
八戸市の八戸三社大祭は約300年前の豊作祈願と報恩に起源を持つ。毎年夏に歌舞伎などを題材にした豪華な山車27台の運行や民俗芸能が繰り広げられる。
小林真市長は「人類の文化遺産としてユネスコの一覧表に入るのは素晴らしいことだ。祭りを維持するため、全市的に応援したい」と話した。
仙北市角館町で350年以上続く角館祭りのやま行事。歌舞伎や武者の人形を載せた山車「曳山(ひきやま)」が通る順番を争ってぶつかり合う「やまぶっつけ」が見どころの一つだ。
実行委員会の今野則夫会長(67)は「時代や流行に合わせて変化してきた祭りを見詰め直し、きちんと後世に残すことが必要。事故を起こすようなことはできない」と気を引き締めた。
秋田市の港町、土崎地区の土崎神明社祭の曳山(ひきやま)行事は江戸中期に始まったとされる。戦国武将の人形飾りを載せた山車「曳山」が、「ジョヤサ」の掛け声に合わせて練り歩く。
「祭りに合わせて降りてくる神様をお迎えするため木製の曳山は毎年組み立てる」と実行委員会の矢吹達夫会長(67)。「国内外の観光客への情報発信を強化したい」と語った。
鹿角市の花輪祭の屋台行事は日本三大ばやしの一つ、花輪ばやしとして知られる。ちょうちんや金箔(きんぱく)で飾った10基の豪華な山車「屋台」が勇壮なはやしに合わせて街中で運行される。
祭典委員会の戸沢正英会長(68)は「おはやしの種類の多さは世界一。観光客や担い手を目指して移住する人を呼び込むきっかけにしたい」と意気込んだ。
豪華さを競う山車(やたい)パレードなどが繰り広げられる新庄まつり。山車行事保存会委員の佐々木新一郎さん(66)は「まつりは最上郡内の学校が休みになるなど最上地域を挙げての存在。守り、引き継ぐ重みをますます感じる」と登録実現を期待した。
ユネスコの補助機関は10月31日、「山・鉾・屋台行事」を無形文化遺産に登録するよう勧告した。

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