る。 木造住宅が軒を連ねる地域は、道路や公園などの都市基盤が不十分なことに加え、消防車や救急車といった緊急車両の進入が困難なところも少なくない。 東京都は延焼を遮断する道路整備や老朽化した住宅の撤去、建て替え支援などを進め、市街地の燃えにくさを示す指標「不燃領域率」の平均は東日本大震災直後の58.4%から約10年間で65.5%に改善した。 だが、延焼の危険性がほぼなくなるとされる7割には届いていないのが実情だ。木密地域の課題は首都の弱点にもつながる
出火危険度が高いエリア
東京消防庁が震災時の火災発生危険性をおおむね5年ごとに評価している「地域別出火危険度測定」によれば、地盤が軟弱で地震時に揺れやすい東京23区の東部で総合出火危険度が高い。 なかでも繁華街が目立つ台東区から中央区、港区北部、木造住宅の密集が著しい墨田区、江東区、荒川区で出火危険度が高かった。 同庁が消防隊や住民による消火活動を考慮せず、墨田区京島地区で同時に4件の火災が発生したシミュレーション(震度7・風速8メートル)を実施した結果、延焼により6時間後には8万6352平方メートル、東京ドームおよそ2個分の面積が焼失すると試算された。 東京都による首都直下地震の被害想定では、最も被害が大きい「都心南部直下地震」が冬の午後6時に発生した場合には都内の総出火数が915件に上り、そのうち初期消火ができずに623件が炎上し、延焼していく。同時多発的に火災が発生し、さらに木密地域であれば消火活動も難しいのは言うまでもない。 つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。