「年収200万円以上」で合意=高齢者医療費2割負担―自公党首、歩み寄る

菅義偉首相(自民党総裁)は9日夜、公明党の山口那津男代表と東京都内のホテルで会談し、75歳以上の医療費負担の引き上げについて、対象となる高齢者の範囲を「年収200万円以上」とすることで合意した。15日の閣議決定を目指し、両党の政調会長間で詰めの調整を行う。

 政府は2022年度から後期高齢者の医療費窓口負担を1割から2割にする方針。対象者について、首相は「年収170万円以上」を主張。公明党は首相案では対象が広過ぎるとして「年収240万円以上」を訴え、調整が難航していた。

 自公両党は衆院広島3区の候補擁立をめぐっても対立。双方で感情的なわだかまりが積み重なっている状態で、首相と山口氏は早期に収拾する必要があると判断した。実施時期は、公明党が求めた22年夏の参院選後の同年10月以降となる方向だ。

 「団塊の世代」が75歳以上になり始める22年度以降、医療費は急増が確実視される。現役並みの年収383万円以上の後期高齢者は3割を負担しているが、全体の7%にとどまる。政府は1割負担の人のうち一定所得以上を2割とする考えだ。

 「年収200万円以上」とする場合、対象者は約370万人。厚生労働省が先にまとめた5通りの試算のうち、対象者の数は真ん中の3番目となる。約520万人が引き上げ対象だった首相の「170万円以上」案と比べ、負担増になる高齢者の数は絞り込まれ、現役世代の負担の増加を抑制する効果は薄まる。

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