海水温の上昇に起因する気候変動の影響で世界各地で記録的な猛暑が続き、大規模干ばつが発生している。そんな中、水位が低下した各地の河川・池の底からは「仰天物体」が出現。世間を賑わせている。
ドイツから10ヵ国以上を通過して黒海に注ぐドナウ川では、8月下旬、約100年ぶりの低水位を記録。セルビア東部・プラホヴォ付近で第二次世界大戦中に旧ソ連軍に撃沈された旧ドイツ軍の艦船20隻以上が出現した(上写真)。爆発物を多数積んでおり撤去が難航している。
4枚目の写真は、スペイン・カタルーニャ地方の貯水池に水没した教会、サンロマ教会だ。普段は2階部分のみが水上に浮かんでいるが、深刻な渇水によって地続きになってしまった。
干ばつ被害は昨年冬からの乾燥の影響によって深刻化している面もある。今年2月、スペイン・ポルトガルの国境地帯では、ダム開発により’92年に水中に消えた村が再び出現した(3枚目写真)。この場所は早くも観光地となり、多くの人々がひび割れた地面を歩きながら崩壊した村の姿を眺めている。
水底から物体が出現したのは欧州だけではない。アメリカ・テキサス州のダイナソーバレー州立公園では、1億1300万年前のアクロカントサウルスの足跡が12年ぶりに確認された(5枚目写真)。獣脚類と呼ばれる3本指の肉食恐竜で、体高は約4.5m、体重は7tにも及ぶという。同公園で足跡が発見されたサウロポセイドンという恐竜を食べていたと考えられている。
累計1ヵ月以上40度を超える猛暑を記録した中国・重慶市では、長江の川底から3体の仏像が100年ぶりに姿を現し話題を呼んでいる(2枚目写真)。現地メディアによると、およそ600年前、明清時代に作られたものとみられるという。
今後も干ばつは続くのか。気象予報士の森朗(あきら)氏が次のように分析する。
「ラニーニャ現象やインド洋、大西洋での海面水温の上昇により偏西風の蛇行が例年より大きくなっています。このため極端な猛暑・干ばつが世界各地で起きているのです。海面水温は急には下がらないので、9月中はこのまま高温傾向が続くと思います」「仰天物体」の出現はまだ続きそうだ。
『FRIDAY』2022年9月16日号より